中高一貫校の英語が苦手になったとき、保護者が英語を教えられなくても、家庭でできる支援はあります。結論は、親が英文法の先生になる必要はなく、学校の答案と教材をそろえ、子どもが答えを隠して解けるかを確認し、分からない問題を学校へつなぐ役割でよいということです。
「学校の教材が難しくて説明できない」「自分も英語が苦手」「教えようとすると口論になる」という場合に、無理に新しい問題集を増やしたり、保護者が不確かな文法説明をしたりする必要はありません。この記事は、教科知識に自信がなくても実行できる家庭の確認手順と、相談先の選び方を整理します。
紹介するのは慶英会による家庭学習の提案です。標準化された学力検査でも、点数上昇や内部進学を保証する方法でもありません。学校から追試・補習・提出物の期限が示されている場合、家庭で独自の学習計画を作る前にその手続きを優先してください。
親が英語を教えられなくてもよい理由
学校の授業内容を説明することと、家庭で学習しやすい状態を整えることは違います。例えば、学校指定の範囲表を探す、テストで間違えた問題を一問選ぶ、解説を見ずに再挑戦したか聞く、質問したいことを記録することは、難しい英語の解説をしなくてもできます。
ただし、保護者がすべての学習を管理するべきだという意味でもありません。子どもが自分で確認できるなら、本人に選択してもらう方がよい場面もあります。親のチェックが原因で家庭の雰囲気が悪くなる場合は関与を減らし、学校の質問時間などを利用しましょう。
「親が英語を教えられないから手遅れ」と決める必要もありません。学校で指導を受けること、本人が自力で解くこと、家庭が資料や予定を整理することは、それぞれ別の役割です。最初から全てを家庭で解決しようとしないことが大切です。
準備する資料は4つだけ
- 最近の定期テストの問題用紙・答案・模範解答。答案が返っていないときは小テストから始める。
- 学校の英語教科書・ワーク・配布プリント。使用しているStageやLessonの情報があれば控える。
- 次のテスト範囲表、提出物の案内、小テストの対象範囲。
- 追試・補習・面談・提出の期限。分からなければ学校の正式な連絡手段で確認する。
最初から新しい参考書を買う必要はありません。学校の問題がどの教材に対応するかを見て、その教材の中でまだ答えられない箇所を選びます。NEW TREASURE(ニュートレジャー)を使っていても、学年・学校によってLessonの扱いや出題範囲は異なります。
保護者が英語を読めない場合は、正答を書いた資料があるかを確認するだけでも十分です。自由英作文の別解や記述の採点を、自分の勘や生成AIの回答だけで断定せず、不明な箇所を先生に尋ねる候補として残します。
最初の5分|「どこで困っているか」を聞く
子どもに最初に聞くのは「英語の何が苦手?」という大きな質問ではなく、「今回の答案で、もう一度できるようになりたい問題を一問選ぶならどれ?」という具体的な質問です。本人が選べない場合は、最近のテストで失点が目立つ大問を一つ選びます。
問題番号と教材名をメモすれば、家庭での取り組みはそこから始められます。一問の意味が分からないときは、親が解説を推測する必要はありません。学校の模範解答、ワークの解説、教員の指示と照合することを優先します。
何も分からないと本人が言う場合でも、過去の学年の全範囲をすぐにやり直す必要はありません。今のLessonで必要な前のルールを一段ずつ確認し、どこで止まるかを確かめます。子どもを責めるための確認にしないことが重要です。
5つの失点パターン|保護者が観察すること
- 単語:英語から意味を答えられるか。日本語から正確な綴りを書けるか。両者を分ける。
- 文法:選択式は答えられるが、語順の並べ替えや英文の書き換えでは止まるのか。
- 読解:単語が分からないのか、本文のどこに根拠があるか見つけられないのか。
- 英作文:最初の主語・動詞を自力で書けるか。時制や語順で止まるのか。
- リスニング:音を聞いたとき難しいのか、スクリプトを文字で見ても理解できないのか。
ただし、一つの誤答で「語彙力が低い」「文法ができない」と判定することはできません。単語が分からず英作文を書けない場合も、時間不足で空欄になった場合もあります。親は診断するのではなく、子どもが止まった場面を具体的に書き留めます。
手書きで整理したい方は、慶英会が公開している無料PDF「英語答案の4領域チェックシート」を利用できます。語彙・文法・英作文・読解の4領域を整理する補助資料で、ここで説明した5領域のうちリスニングは含まれません。正式な診断テストではありません。
「答えを見ないで解けるか」の3段階確認
第1段階|誤答を一問だけ選ぶ
学校の答案を使い、子ども自身に問題を選んでもらいます。親は問題番号を書いておくだけで構いません。子どもが選べない場合は定期テストの大問から一問を選び、次に何を学びたいか一緒に考えます。
一度に十問も二十問も選ばず、最初は一問から始めます。本人の負担が大きいときに長時間の復習を強制すると、翌日も続けることが難しくなる場合があります。短時間で終えられる確認を優先します。
第2段階|解答を閉じて書く
本人が模範解答を閉じて、同じ問題を解けるかを確認します。親は英文が正しいか自分で解説するのではなく、学校の解答と本人の回答を比べるための環境を整えます。答えが不明な場合は無理に丸付けしません。
答えを見れば分かるのに、自分では一語目も書けない場合は、そのこと自体をメモします。時制、動詞の形、語順など、本人がどこで止まったのか聞き、必要なら先生へ質問します。
第3段階|翌日以降に別の問題で確かめる
解説を見た直後は正しく書けても、後日一人で答えられるかは別です。学校ワークの類題や先生が指定した問題を、別の日に答えを隠して一問解きます。できたら完了とし、できなければその単元の復習や質問につなげます。
保護者が自分で英文を作る必要はありません。正しい解答を確かめられる教材を選びます。特に自由英作文は複数の正しい表現があり得るため、学校や指導者が示した判断基準で確認します。
「分かった?」の代わりに聞く5つの質問
- 「答えを見ないで、もう一度できる?」
- 「どの言葉やルールで止まった?」
- 「学校のどの教材に似た問題がある?」
- 「先生に一問だけ聞けるならどれにする?」
- 「今日はここで終わる? 翌日もう一問やってみる?」
一方で「何時間やったの?」「また間違えたの?」「こんな簡単な問題もできないの?」という質問は、失点の理由を明らかにするものではありません。親子で意見がぶつかる場合は一度方法を変え、本人が自分で整理する、学校の先生へ尋ねるなどの選択肢を残します。
毎日の声かけが難しい家庭であっても、週末に一度だけ「今週できたこと」「分からないこと」を尋ねる形でよい場合があります。最適な関わり方は本人の性格や生活リズムによって異なるため、一律に毎日確認する必要はありません。
中高一貫校の英語は「学校の進度」を最初に確認する
中高一貫校では、学校指定の教材や独自のプリントを使い、学年相当の一般的な問題集と異なる順序で文法を扱う場合があります。ただし、すべての中高一貫校で同じ教材・進度・評価基準が使われるわけではありません。
例えば現在のLessonで過去形の疑問文が扱われている場合、一般動詞の原形とdidの使い方が必要です。しかし学校の次回小テストが綴り問題なら、まず期限の近い語彙を確認する必要もあります。授業で習っている内容と差し迫った課題の両方を見て順序を決めます。
進級や内部進学の要件、追試の対象、補習の参加方法は学校によって異なります。「30点以下なら留年」「小テストに3回落ちたら進級不可」など、一律の基準をネットの記事から当てはめないようにします。
親がしてよいこと・しなくてよいこと
- 学校の範囲と期限を確認する。本人の教材を一か所にまとめる。
- 学校の採点済み答案から、本人がもう一度解きたい問題を選ぶ。
- できない問題を責めず、次に誰に質問するか整理する。
- 親が英文法の正解を知らない場合、不確かな説明で教え込まない。
- 出題形式が違うのに同じワークを何周も増やすだけにしない。
- 親子の対立が強いときは親の介入を減らし、学校の相談機会を活用する。
教科の成績と生活全体を結び付けて叱責する必要はありません。本人が自分で勉強できる部分を残し、必要な場合には学校の先生や学習支援者へ相談します。親がすることを減らす判断も、学習の継続を支える選択肢です。
1週間の家庭支援モデル|親が英語を教えない7日間
次は家庭での試行プランであり、特定の成績向上が実証された専用プログラムではありません。学校の試験や課題の期限、本人の負担に応じて順序や日数を変えてください。
- 1日目:答案・小テスト・学校教材・次の試験範囲を確認し、補習や提出期限を最優先で確認する。
- 2日目:本人が困った問題を一問選び、答えを見ずに再挑戦する。できないところを一行メモする。
- 3日目:学校のワークや解説で該当する範囲を確かめる。理解できなければ質問に残す。
- 4日目:学校指定の似た問題を一問選び、自力で回答できるか確かめる。
- 5日目:単語テストなど直近の学校課題を優先し、意味と綴りを分けて短時間で確認する。
- 6日目:今週できたことと、まだ難しいことを本人に一つずつ聞く。
- 7日目:翌週の範囲と提出期限を見て、必要な復習だけを残す。
すべてを毎日行う義務はありません。部活動で忙しい週なら2日目と7日目だけでも構いません。重要なのは学習量を機械的に増やすことではなく、どの課題で止まったのか、次に何をするのかを具体化することです。
ケース別の対応|家庭で何を見ればよいか
単語の意味は分かるのに英語で書けない
英語を見て意味を答える問題と、日本語から英単語を書く問題は区別します。学校の小テストの形式が後者なら、答えを隠して綴りを再現できるかを確認し、翌日も試します。詳しくは英語小テストで不合格が続く原因別の対応へ。
学校ワークは終えたが、テストで失点する
ワークの選択問題はできても、本番では英作文で自力回答できない場合があります。家庭では対応する学校ワークと答案の大問を一つだけ照合してください。学校ワークを終えても点数が伸びない理由を参照できます。
国語・数学はできるのに英語だけ下がる
科目ごとの出題範囲・平均点・難度が違えば、素点だけで理解度は比較できません。英語の答案で語彙・文法・読解・英作文のどこに失点が集中するかを見ます。英語だけ成績が下がる場合の保護者向けガイドをご覧ください。
赤点や追試の案内が来た
家庭で新しい教材を選ぶ前に、学校の規定と補習・追試・提出の期限を確認します。学校の条件を推測することはできません。赤点・平均点以下になったときの初動対応を参考にしてください。
学校の英語担当へ何を聞くべきか
相談するときは「英語が全然できません」ではなく「Lesson 3の並べ替えはできるが、時制を書き換える問題で止まります」など、答案と一致する困りごとを一つ示します。学校で指定する復習範囲、質問できる時間、補習・追試があるかを尋ねます。
詳しい質問例は学校の英語担当に保護者が聞きたい12の質問と連絡文例にまとめています。学校の連絡帳・アプリ・担任経由など、在籍校が認める方法で相談してください。本人やほかの生徒の情報を公開の場に載せる必要はありません。
学校から指示された内容を家庭だけで進めるのが難しい場合でも、すぐに塾へ入る必要があると断定することはできません。学校の補習や質問の機会を使えるか、現在の学習で何が不足しているかを確認してから判断する方法があります。
外部の個別指導を検討する前の判断
学校の教材と解説を使い、本人が自力で答え直せるようになっている場合は、家庭と学校の支援で対応できるかもしれません。一方、前学年の基礎から戻る必要がある、どこでつまずいたか分からない、学校の課題に追いつけないといった場合には、追加の学習支援を検討する余地があります。
どの塾でもよいわけではありません。学校の進度・指定教材・直近の答案を扱えるか、問題を一から解く機会があるか、宿題が過剰でないか、本人が質問しやすいかを確かめることが大切です。体験を受けても、その場で契約する必要はありません。
必要に応じて慶英会公式サイトで中高一貫英語の指導内容・無料体験を確認してください。無料体験の条件や受付状況は公式案内を優先してください。
保護者のための週末3行メモ
家庭でのチェックを長い日報にする必要はありません。学校の先生や指導者へ相談するために、次の3行を記録するだけでも状況を整理できます。答案写真は必要になった場合のみ、指定された適切な方法で共有してください。
- ① 自力でできた問題:[教材・問題番号]
- ② まだ止まる問題:[教材・問題番号・困った箇所]
- ③ 次に聞くこと:[学校の先生への質問・提出期限など]
子どもに記録をつける意思があるなら本人が管理するのも選択肢です。親が全部を記録する必要はありません。メモの形式より、自分の課題が具体的になっているかを重視してください。
よくある質問
Q1. 親が中学英語を忘れていても支援できますか?
できます。英文法を教えるのではなく、学校指定の教材をそろえ、本人が解答を隠して自力で解けるかを確かめ、分からない問題を学校へつなぐ役割が考えられます。不明な正誤を親が推測して教える必要はありません。
Q2. 解答を見ながら書き直せたら復習は完了ですか?
解答を見て書けたことと、後日ひとりで書けることは異なります。学校が提示した同種の問題を別の日に解き、答えを見ずにできるか確かめます。できなければその部分を復習や質問の候補にしましょう。
Q3. 親が確認すると口論になります。どうするべきですか?
家庭学習のチェックを続けること自体を目的にしなくて構いません。本人が自分で確認できる部分を尊重し、学校の質問機会や別の学習支援も検討してください。学習のこと以外にまで叱責が広がらないよう、関わり方を変える判断も大切です。
Q4. 英検には合格したのに学校英語が苦手です。
英検と学校のテストでは出題形式や範囲が異なります。合格級だけで学力を判断せず、学校の現在のLessonと答案で失点形式を確認してください。
Q5. 親が塾へ伝えるべき情報は何ですか?
学校の学年、使用教材、最新の答案で困った問題形式、次回テスト日、学校からの補習・追試の案内を簡潔にまとめると相談しやすくなります。初回連絡で本人の詳しい個人情報や答案写真を無理に送る必要はありません。
Q6. 塾に通わせれば成績が必ず上がりますか?
保証はできません。塾の授業時間だけでなく、学校の教材との対応、本人が自力で解ける練習、現在の生活で無理なく継続できるかを確認する必要があります。学校の支援だけで十分な場合には急いで入塾する必要はありません。
原因がまだはっきりしない場合:赤点・小テスト不合格・学校ワーク完了後の低得点・英語だけの成績低下などから記事を選べる中高一貫校の保護者向け5つの原因別ガイドも参考にできます。学校で優先する課題がある場合はその期限を確認してください。
慶英会の学校英語・無料体験について
家庭だけでは復習する文法を決められない場合や、現在の授業範囲と過去の基礎を整理したい場合には、慶英会のオンライン個別指導も選択肢の一つです。学年、教材名、困っている問題形式、直近の試験日など、共有可能な範囲を整理しておくと相談が具体的になります。
指導内容と無料体験の条件は慶英会公式サイトから確認できます。慶英会が公開案内で使用している公式LINEでも相談できます。学校の期限付きの補習・追試がある場合は、まず学校の指定する手続きを確認してください。
監修:慶英会 塾長
参考にした主な公式情報
- 国立教育政策研究所|指導資料・事例集(中学校外国語の学習評価資料など)
- 文部科学省|外国語教育について知る(学習指導要領解説・参考資料)
- Education Endowment Foundation|Working with Parents to Support Children’s Learning(2018年)
※文部科学省と国立教育政策研究所の資料は中学校外国語の学習・評価の考え方を確認するための公的な参考情報です。英国EEFの研究ガイドは保護者と学校の連携を考える参考として挙げています。本文の3段階確認法、7日間プラン、声かけ例、3行メモは慶英会が整理した提案で、これらの組み合わせの効果が検証済みという意味ではありません。個別学校の進級・評価・補習条件は各校の正式案内が優先です。




