甲陽学院中学校の中1・中2で、英文の単語は分かっているのに「誰が、何を、誰に渡したか」がずれてしまう。そんなときは、全文をもう一度訳す前に、it・them・herなどを、具体的な人物や物の名前に戻して読む練習をしてみましょう。
この記事では、四つの短い創作英文から関係図を作ります。物の移動、同じ物と同じ種類の別の物、前の出来事を指すthis、本文だけでは決められないsheを区別します。保護者様は英語を先回りして訳すのではなく、本人が引いた線の根拠を一つ尋ねる役を担ってください。
甲陽学院の公式方針と、今回の家庭学習の位置づけ
甲陽学院の公式「教育の特色」は、毎日の予習復習と平常授業の理解を重視しています。また、補習の制度は設けない一方、担当教師の判断で個別指導等を行うことがあると説明しています。質問や個別対応ができないという意味ではありません。
本記事では、その予習復習で「読めなかった箇所を具体化する」ための家庭用練習を提案します。以下の英文・16問・関係図の作り方は慶英会の独自教材です。学校の定期考査、採用教科書、授業課題、採点基準を再現したものではありません。学校で指示された予習・提出物を優先し、未習の文法は飛ばして構いません。公式情報の確認日は2026年11月4日(日本時間)です。
関係図は、人物・物・動作だけで作る
ノートに、人物を二人、物を二つ、といった具合に名前を書きます。本文に貸し借りがあれば「貸す人 → 物 → 借りる人」、移動があれば「物 → 移動先」と短く結びます。英文をすべて図にせず、迷った一文だけで十分です。
確認する順番:①候補の名詞を探す。②単数・複数や人・物の違いを確かめる。③動作の主語と受け手を読む。④候補を代名詞の位置へ戻し、前後の文と合うか確かめる。「直前の名詞だから」という理由だけでは決めません。
下の問題は一日一場面、4問程度に分けられます。答えを見る前の関係図を残し、解説後に違う色で直すと、最初の読み違いを確認できます。用語を暗記するテストではないので、指す内容は日本語でも英語でも答えられます。
場面A|赤いファイルは、何のそばに置かれたか
独自英文A
Emi is Nao’s sister. Nao borrowed a red folder from her. Two empty boxes were nearby. Nao put it beside them. Later, Nao returned the folder to Emi.
語句:borrow A from B=BからAを借りる、folder=書類を挟むファイル、empty=空の、nearby=近くに、beside=~のそばに、return=返す。人物・出来事は架空です。
問1:herが指す人物を答えてください。
問2:itが指す物を、色も含めて答えてください。
問3:themが指す物を、数も含めて答えてください。
問4:「箱をファイルのそばに置いた」という関係図は本文に合いますか。移動させた物と、その置き場所を正しく書いてください。
場面B|itとoneは、同じ定規を指すのか
独自英文B
Riku had a small ruler in his bag. Ken needed a ruler, so Riku lent it to him. Ken used the ruler to draw a line and returned it after class. The next day, Ken bought one at a shop. Ken’s new ruler was longer than Riku’s.
語句:ruler=定規、lent=lend(貸す)の過去形、draw a line=線を引く、bought=buy(買う)の過去形。最後のRiku’sはRiku’s rulerを省略した形です。
問5:太字のitが指す物を答えてください。
問6:太字のhimが指す人物は誰ですか。「貸す人 → 定規 → 借りる人」の関係を書いてください。
問7:oneを、代わりになっている名詞を使って書き換えてください。
問8:Kenが店で買ったのは、前日に借りた定規そのものですか。最後の文も根拠にして答えてください。
場面C|thisが指すのは、物ではなく出来事
独自英文C
The room was dark. Yui opened the curtains. This made the room brighter. Some students came into the room. They could see the map on the wall clearly. The students decided to work there.
語句:curtains=カーテン、made the room brighter=部屋をより明るくした、clearly=はっきりと、decided to=~することに決めた。
問9:Thisの内容を、「誰が何をしたこと」と分かる日本語で答えてください。
問10:Theyが指す人たちは誰ですか。
問11:thereはどの場所ですか。
問12:「This → curtains」という関係図だけでは、何が抜けていますか。原因となる出来事と、その結果を結んで書き直してください。
場面D|sheを一人に決められないとき
独自英文D
Yuna spoke to Mei after school. She was worried about tomorrow’s presentation. Yuna offered to help.
語句:was worried about=~を心配していた、presentation=発表、offered to help=手伝いを申し出た。この英文は、指す人物が曖昧なまま残るように作っています。
問13:Sheが指す人物の候補を二人書いてください。
問14:「直前にMeiとあるから、必ずMeiを指す」と断定できますか。理由も答えてください。
問15:「心配していたのはMei」と一意に伝えるため、二文目を書き換えてください。
問16:次の二つを「本文で確認できる」「本文だけでは一意に決まらない」に分けてください。A:Yunaが手伝いを申し出た。B:心配していたのはMeiだった。
16問の全解答・根拠・全文和訳
場面Aの解答|近い名詞ではなく、数と動作を見る
問1:Emi。一文目でEmiはNaoの姉または妹だと紹介され、次の文でNaoがherからファイルを借りています。借り手Naoと、貸し出した側のEmiを分けます。
問2:a red folder(赤いファイル)。itは一つの物を受けています。直前の文のboxesは複数であり、このitの指示先には合いません。問3:two empty boxes(空の箱二つ)。themは複数の箱を受けています。
問4:合いません。正しくは「Naoが赤いファイルを移動させ、二つの空の箱のそばに置いた」です。putの目的語がit、besideの後がthemです。「ファイル → 箱二つのそば」と結びます。
英文Aの全文和訳:EmiはNaoの姉または妹です。NaoはEmiから赤いファイルを借りました。近くには空の箱が二つありました。Naoはそのファイルを箱のそばに置きました。その後、NaoはファイルをEmiに返しました。sisterだけでは姉か妹かまでは決まりません。
場面Bの解答|同じ物を受けるitと、名詞の代わりになるone
問5:Rikuがかばんに入れていた小さい定規。最初に出てきた特定の定規をitで受けています。問6:Ken。関係は「Riku → 小さい定規 → Ken」です。Riku lent it to himの主語Rikuが貸す側、to himのKenが受け手です。
問7:a ruler。Ken bought a ruler at a shop.と書き換えられます。oneはここでは「定規」という名詞の繰り返しを避けています。
問8:別の定規です。Kenは借りた定規を授業後に返しています。さらに、自分で買った新しい定規はRikuの定規より長い、と区別されています。oneの一語だけを機械的に「必ず別物」と覚えるのではなく、この文章では何を買い、何と比べたかまで読みます。
英文Bの全文和訳:Rikuはかばんの中に小さい定規を持っていました。Kenが定規を必要としていたので、RikuはそれをKenに貸しました。Kenはその定規で線を引き、授業後に返しました。翌日、Kenは店で定規を一本買いました。Kenの新しい定規は、Rikuの定規より長いものでした。
場面Cの解答|thisを名詞一語だけに結び付けない
問9:Yuiがカーテンを開けたこと。直前の出来事をThisでまとめています。「カーテン」という物の名前だけでは、何によって部屋が明るくなったのかが抜けます。
問10:部屋に入ってきた生徒たち。TheyはSome studentsを受けています。問11:その部屋。thereは、この文では場所を示す語です。代名詞と品詞が同じだと覚える必要はなく、どの場所を表すかを確かめます。壁の上で作業するという意味にはなりません。
問12:「開けた」という動作が抜けています。「Yuiがカーテンを開けたこと → 部屋がより明るくなった」と直します。thisには前の一語を指す場合だけでなく、前の文で述べた出来事や内容をまとめて受ける場合があります。
英文Cの全文和訳:部屋は暗い状態でした。Yuiがカーテンを開けました。それによって部屋はより明るくなりました。何人かの生徒が部屋に入ってきました。生徒たちは壁の地図をはっきり見ることができました。そして、その部屋で作業することに決めました。
場面Dの解答|もっともらしい読みと、確定できる読みを分ける
問13:YunaとMei。両方が候補になります。問14:断定できません。Yunaが手伝いを申し出たため「Meiが心配していた」と読むのは自然ですが、二文目のSheだけでは一人に確定しません。Yuna自身も心配していた、という読みを排除する情報はありません。「最も近い名前」を選ぶ決まりとして扱わないでください。
問15:Mei was worried about tomorrow’s presentation.(Meiは翌日の発表を心配していました)。名前を明示すれば、この点の曖昧さはなくなります。これは元の文から確定した事実の抜き出しではなく、設問で指定された意味へ書き換える課題です。
問16:Aは本文で確認できる。Bは本文だけでは一意に決まらない。三文目にはYunaの名前とoffered to helpが明示されています。一方、誰が心配していたかは二文目の指示先の問題が残ります。判断できない箇所が一つあっても、他の情報まで全部不明にする必要はありません。
英文Dの全文和訳:Yunaは放課後にMeiと話しました。彼女は翌日の発表を心配していました。Yunaは手伝いを申し出ました。「彼女」がどちらかは、この訳でも決めずに残しています。
保護者様は、正答数より「線を引いた理由」を聞く
問2・3を逆にした:「itとthemのどちらが一つ、どちらが複数?」と聞き、英文Aのfolderとboxesへ戻します。単語を何回も書くより、数と動作を対応させる練習を選びます。
問8で同じ定規だと答えた:英文Bの最後を読み、「新しい定規は何と比べて長いの?」と尋ねます。oneの訳だけを覚え直すのではなく、二本をノートに描き分けても構いません。
問9でcurtainsだけを答えた:「カーテンがあること? 開けたこと?」と、出来事まで言えるか確かめます。問14で必ずMeiと決めた:「Yunaが心配していた可能性を、どの文が否定している?」と聞きます。子どもの読みをすぐ否定せず、本文で言い切れる範囲を一緒に確かめます。
これらは独自問題の確認法です。学校の設問に別の前後関係や選択肢がある場合は、その全文と指示に従います。学校の先生と答えが違ったときに、本記事だけを根拠として学校の採点が誤りだと決めないでください。
学校教材へ戻すときは、迷った一か所だけ
翌日は、解説を隠して前日に迷った一問の関係図を作り直します。その後、現在の学校教材の中から、本人が代名詞の指す内容で迷った一文を選び、必要な前後の文も読みます。学校教材を外部へ転載したり、写真を送ったりする必要はありません。
解決しなければ、「このitをAだと思いましたが、後ろの動作と合わないのでBか迷っています」のように、指す語・候補・迷う理由をそろえて担当の先生へ質問します。学校の質問方法や受付時間は実際の案内に従ってください。正答数から学校の点数や順位、塾の必要性を判定するものではありません。
困り方に合う次の教材・学習相談
同じ綴りの意味を選べない場合は甲陽学院中1・中2向け「文脈で意味を選ぶ12問」へ。予習で作った仮の読みを授業後に直せない場合は根拠付きで予習メモを更新する8課題へ進めます。全体の計画は甲陽学院中学校の英語・定期テスト対策で確認できます。一度に全部へ取り組む必要はありません。
家庭で指示先を確かめても読み違いが続く場合は、慶英会の無料体験・学習相談をご利用ください。最初は学年と「人物の関係を取り違える」「itとoneで迷う」などの困りごとだけで構いません。お子様の氏名入り答案や学校の非公開資料を初回から送る必要はありません。体験の時間・回数・担当講師・日程は開始前にご案内します。
本記事は甲陽学院の公認・提携教材ではありません。本文の独自教材は無料で読めます。学校の出題傾向・特定教材の採用・得点向上を保証するものではありません。

