
慶英会 塾長|慶應義塾大学卒・英検1級
中高一貫校の学校英語・NEW TREASURE・英検対策を専門とするオンライン個別指導塾です。塾長紹介
神戸大学附属中等教育学校の英語学習で、振り返りに何を書けばよいか分からず「頑張った」「もっと勉強する」だけになるときは、文章を長くする前に、実際に取り組んだ一問・一文・一場面を選びましょう。「何をしたか」「どこで止まったか」「次に何を試すか」が分かれば、短い記録でも次の学習につながります。
本記事は保護者と生徒が家庭で使う独自の整理方法です。学校の提出物の模範解答を代筆するものではありません。以下の3事例・6課題はすべて架空で、実在する同校の生徒の答案・記録ではありません。学校から様式や言語の指定がある場合は、それを優先してください。
同校の研究で確認できることと、現在の授業で確認が必要なこと
神戸大学の学術成果リポジトリには、同校発行の研究紀要に掲載された増見敦氏の2024年の振り返りに関する縦断的調査と、2025年の3年間の振り返り記述に関する研究があります。今回確認したのは書誌情報と公開抄録です。
2024年の抄録では、振り返りを用いて学習態度を捉える意義と評価上の課題が述べられています。2025年の抄録では、学習経験や本人の学習観が時間とともに変化することに注目しています。本記事は研究の評価方法を再現せず、本人の具体的な経験から次の行動を選ぶ家庭練習を提案します。
これらは過去の研究報告です。現在の全学年で同じ振り返りシートを使う、長く書くほど評定が上がる、特定の書き方なら高評価になるとは確認できません。研究の対象者の記述や調査データは転載していません。
「感想」と「次に使う記録」を分ける
「楽しかった」「難しかった」という感想は、本人の大切な経験です。消す必要はありません。その横に、どの活動でそう感じたのかを一つ添えると、次に何を変えるかを考えやすくなります。反省点だけを探し、できたことを毎回取り消す必要もありません。
- 感想:英作文が難しかった。
- 具体的な場面:昨日の出来事を書くとき、動詞を現在形のままにした。
- 次に試すこと:文を作る前に時間を表す語を囲む。
- 確認する方法:別の出来事を一文書き、動詞の形を自分で見直す。
この四つは慶英会独自の整理例です。学校の公式の評価項目ではありません。毎回すべてを埋めることが目的ではなく、本人が次の一歩を選べるかを重視します。
家庭用の空欄メモ|一つの出来事から書く
- 今日取り組んだこと:____。使った問題や場面:____。
- 自分でできた部分:____。手助けが必要だった部分:____。
- そのとき気付いたこと・まだ分からないこと:____。
- 次に試す小さな方法:____。
- 確かめる場面・問題:____。試した後に分かったこと:____。
「自分でできた」と「解説を読めば分かった」は、どちらも学習の記録ですが、同じ状態ではありません。何を見ながらできたのかも残すと、翌日の練習を選びやすくなります。書く負担が大きいときは、一つの欄を口頭で話してから短く書いて構いません。
独自事例A|解説を読んだ後は分かるが、翌日に同じ誤りをする
架空の記録:生徒Aは「昨日、図書館を訪れました」をI visit the library yesterday.と書きました。解説を読んでvisitedに直しましたが、翌日「先週の日曜日に祖母を訪ねました」でもvisitと書きました。感想には「過去形を頑張った」とだけ書いています。
英文と訳:I visit the library yesterday.は、yesterday(昨日)と現在形visitが合っていません。修正例はI visited the library yesterday.(私は昨日、図書館を訪れました)です。翌日の文はI visited my grandmother last Sunday.(私は先週の日曜日に祖母を訪ねました)と書けます。
課題1・2
- 問1:この記録だけで「過去形が自力で使えるようになった」と書いてよいですか。根拠を挙げて答えてください。
- 問2:「もっと頑張る」を、次に行う具体的な方法と確認の一文に書き換えてください。
事例Aの解答・解説
問1 解答:まだそのようには書けません。解説を読んだ直後には修正できましたが、翌日の別の文では同じ誤りが出ています。「解説があれば直せた」と「自力で使えた」を分けて記録します。
解説:解説を理解したこと自体は進歩です。その事実を残しながら、時間表現と動詞の形を自分で結び付ける練習が必要だと整理します。
問2 解答例:「英文を書く前にyesterdayやlast Sundayなどの時間表現を囲む。その後で動詞の形を決める。明日、別の出来事を一文書き、解答を見ずに過去形を使えたか確かめる。」
解説:取り組む場所が明確で、実行したかと結果を確認できます。「過去形を全部覚える」のように大きすぎる目標を、次の一文で試せる行動へ小さくしています。
独自事例B|前回よりできた部分を、具体的に残す
架空の記録:生徒Bは、先週は英語の発表で理由を言えませんでした。今週はメモを見ながらI like this book because the pictures are clear.と言えました。ただし、続けて質問されると答えられませんでした。感想は「質問に答えられなかったので、全部だめだった」です。
英文の訳:I like this book because the pictures are clear.は「絵が分かりやすいので、私はこの本が好きです」です。この場面では、理由の一文をメモ付きで言えたことが確認できます。
課題3・4
- 問3:「できたこと」と「残った課題」を、それぞれ一つずつ書いてください。メモを見た条件も残してください。
- 問4:次の練習を「発表原稿をもっと長くする」に決めてよいでしょうか。先に確認したいことを挙げてください。
事例Bの解答・解説
問3 解答例:「できたこと:前回は言えなかった理由を、今週はメモを見て一文で言えた。残った課題:追加の質問には答えられなかった。」
解説:一つの未達成を理由に、できた部分まで消していません。同時に「メモなしで話せた」と事実を強めてもいません。次回、メモを減らす練習と質問への応答練習を分けられます。
問4 解答例:「質問の英語の意味が分からなかったのか、意味は分かったが答えの英文を作れなかったのか、内容そのものを知らなかったのかを確かめる。」
解説:止まった理由によって次の練習は変わります。質問を理解する問題なら、原稿を長くしても直接の対策にはなりません。発表後の質問に答える独自12課題を、必要な場面だけ使えます。
独自事例C|比較の条件が違うときは、数字だけで結論を出さない
架空の記録:生徒Cは、月曜日に辞書を使わず初めての英文を読み、5問中3問正解しました。水曜日には同じ英文を再読し、辞書を使って5問すべて正解しました。「読解力が2問分上がった」と記録しようとしています。これらの数字は教材用に作ったもので、実在する生徒の成績ではありません。
課題5・6
- 問5:月曜日と水曜日の結果から、自力で初めての英文を読む力が同じ条件で向上したと言い切れますか。条件の違いを二つ挙げてください。
- 問6:水曜日にできたことを正確に書き、次に確認する方法を一つ提案してください。
事例Cの解答・解説
問5 解答:言い切れません。水曜日は一度読んだ英文であり、辞書も使っています。初見か再読か、辞書の有無という二つの条件が違います。
解説:再読や辞書を使った学習に価値がないという意味ではありません。今回できたことと、まだ確かめていない力を区別します。
問6 解答例:「同じ英文を辞書で確認しながら読み直し、5問すべての答えを見つけられた。次は学校の既習範囲に合う別の短い英文を、辞書なしで読み、答えの根拠を示せるか確認する。」
解説:別の英文は難しさが完全に同じとは限らないため、一回の得点差だけで伸びを断定しません。何に困ったか、根拠を見つけられたかも記録します。単に正解数を増やすため、答えを覚えた問題だけを繰り返す記録にしないことが大切です。
英語で振り返る指定があるときの短い表現
学校が英語での記述を求めている場合だけ、本人の経験に合う範囲で使ってください。日本語でよい課題を無理に英語化する必要はありません。次の文は空欄を埋めるための完成答案ではなく、意味を確認するための表現例です。
- I could explain one reason with my notes.(メモを見て、一つの理由を説明できました。)
- I needed help with the past tense.(過去形について手助けが必要でした。)
- Next time, I will check the time words first.(次回は、最初に時間を表す語を確認します。)
- I am not sure why I made this mistake.(なぜこの間違いをしたのか、まだはっきり分かりません。)
できなかった理由が分からない場合、「集中していなかったから」と決めつけなくて構いません。「この問題で止まったが、原因はまだ分からない」と残し、授業で質問することも次の行動です。記録をよく見せるために、行っていない勉強や架空の成功を書かないでください。
保護者の声掛け|文章を直す前に、一つだけ尋ねる
- 「どの問題のこと?」と尋ね、本人が実物や番号を選ぶのを待つ。
- 「何も見ずにできた? それとも例を見た?」と条件を確認する。
- 「前より楽になった部分はある?」と、失敗以外にも目を向ける。
- 「次は何を一つ変える?」と尋ね、本人が実行できる範囲にする。
- 次に試した後、「どうなった?」と確かめ、うまくいかなければ方法を見直す。
保護者が立派な文章へ全面的に書き換えると、本人が何を考えたかが見えにくくなります。話した内容を短い語句へ整理する手助けにとどめ、学校への提出内容は本人が確認してください。家庭の事情や言いたくない気持ちまで、毎回詳しく書かせる必要はありません。
振り返りを、勉強時間の追加だけで終わらせない
「毎日30分増やす」と決める前に、今の取り組みのどこを変えるとよいか考えます。見本を写すだけだったなら一文を隠して作る、根拠を探せなかったなら該当箇所に線を引くなど、方法の変更が先に必要な場合があります。時間を増やせない日にも試せる小さな行動を選びましょう。
学校の提出期限や試験範囲は優先します。家庭用の記録を詳しく作るために、提出課題や睡眠を削る必要はありません。本人に意味のある一つの経験を扱い、記録を書く作業自体を増やしすぎないようにします。
よくある質問
この書き方で主体的な態度の評価が上がりますか。
学校の評定は保証できません。本記事は学校の評価表ではなく、現在の授業での採点方法も確認していません。提出物の要件は学校に確認し、家庭では記録が次の学習に役立ったかを見ます。
毎回、失敗を一つ書かなければいけませんか。
その必要はありません。以前できなかったことが、どの条件ならできるようになったかを書くことも有用です。学校で記入項目の指定がある場合は従い、家庭の追加記録では無理に失敗を探さないようにします。
同じ間違いが続いたら、記録は無意味ですか。
同じ方法で改善しなかったことも、方法を選び直すための情報になります。本人の努力不足と決めつけず、説明を理解できたか、練習の条件が合っていたか、学校で質問する必要があるかを確認してください。
復習先と、必要な場合の学習相談
文法・読解の基礎を確認する場合は、同校の英語ガイドと独自24問や、無料英語学習シートへ進めます。話し合いの場面が課題なら、英語ディスカッションの独自3場面9課題を使い、実際に練習した部分だけを振り返ってください。
学校の支援と家庭で改善している場合、追加指導を急ぐ必要はありません。同じつまずきの原因が分からない場合は、無料体験・学習相談で学年と困っている場面の概要をお知らせください。初回から本人の氏名や振り返りシート画像を送る必要はありません。体験・授業の条件を事前に確認できます。
出典と確認範囲
- 増見敦(2024)「英語学習者の『主体的に学習に取り組む態度』を見取るための『振り返り』に関する縦断的調査」研究紀要:神戸大学附属中等 論集8、17–24頁。本文冒頭のリンク先で書誌・抄録を確認。
- 増見敦(2025)「中学英語学習者による学びの『振り返り』:3年間の振り返り記述から見えてくるもの」同9、13–18頁。本文冒頭のリンク先で書誌・抄録を確認。
確認日:2026年11月5日(日本時間)。今回、研究論文の全文・図表・生徒の原記述の検証は行っていません。独自事例・問題・解答・空欄メモは論文の転載ではなく、慶英会の家庭用提案です。学校の現行提出様式・評定基準・学年別運用は未確認で、学校や神戸大学による公認・提携を示しません。
