中高一貫校の中1・中2で「英語の授業で当てられるのが怖い」「質問されたときに声が出ない」と訴えたとき、英語の勉強量を増やすことだけが解決策ではありません。答えの知識がない、英語の質問を聞き取れない、答えを作る時間が必要、人前で失敗することに不安がある、教室での出来事が気になっている――これらは別の問題です。まず本人の話を聞き、筆記と口頭での理解の差を本人の同意を得て確認し、必要に応じて学校へ相談してください。英語面の課題であれば、簡単な質問に一文で答える練習から無理なく始めます。文部科学省の学習指導要領では「話すこと[やり取り]」と「発表」が別の領域として設定されていますが、これは不安を感じる生徒に無理な発言を強制すべきという意味ではありません。この記事では原因別の対応、学校への相談項目、独自の応答練習、14日間の家庭向け計画を示します。
最初の結論:英語の理解と「人前で話す不安」を分ける
| 本人の様子 | 考えられるつまずき | 優先したい対応 |
|---|---|---|
| 文字で見れば答えられるが、音声だと分からない | 聞き取り・音と単語の結び付き | 短い音声と文字を照合する |
| 書けば正解するが、急に言われると止まる | 応答を組み立てる時間、緊張 | 事前に準備した短い一文から練習し、学校に配慮を相談 |
| 書いても答えられず、授業内容も分からない | 語彙・文法・質問の意味の不足 | 学校で習った短文の理解を優先する |
| 教室で笑われた、発言のたびに強い苦痛がある | 教室内の対人・安心の問題の可能性 | 本人の安全を優先し、担任・英語担当・相談員へ連絡 |
| 英語以外も登校しづらい、睡眠などに影響 | 英語学習だけでは説明できない負担 | 学校の教育相談担当等に相談し、学習の負荷を増やさない |
この表は教育的な切り分けの目安であり、心理状態を診断するものではありません。筆記・音声・口頭の比較自体が本人に苦痛なら、無理に実施せず、学校と相談してください。
国の学習指導要領でいう「話すこと」は一種類ではない
文部科学省「中学校学習指導要領解説 外国語編」は、相手との双方向の応答である「話すこと[やり取り]」と、人に伝える「話すこと[発表]」を区別しています。即興のやり取りも目標の一つですが、学習では既習の表現を使い、身近な話題から少しずつ練習を重ねます。文部科学省公式PDF・22頁(PDF25頁目)に目標の解説があります。学校の具体的な発話評価・指名方法は学校の最新の案内を確認してください。
よくある5つの原因:焦って断定しない
1.質問の語彙や文法が分からない
例えば「What did you do yesterday?」が理解できなければ、過去の出来事を英語で答える以前に、did・yesterdayの意味と疑問文の仕組みが必要です。be動詞・一般動詞・過去形など、実際の授業で習った範囲へ戻りましょう。
2.頭では分かっているが、声に出すまで時間がかかる
英文を見て答えられることと、相手の質問を聞いて素早く返すことは同じではありません。最初は答えを紙に書き、許容できる範囲で一文を読む練習へつなぎます。流暢さの評価より「質問に合った内容を返せるか」を見てください。
3.質問を聞き取れず、聞き返す方法も分からない
質問文の音声が捉えられない場合は、学校教材の音声を短く聞いて文字と照合します。必要なら「Could you say that again, please?」(もう一度言っていただけますか)など、授業で利用可能な聞き返し方を学校の先生と確認しましょう。
4.以前の指名で嫌な経験をした
教室で笑われた、注意されたことが強く心に残っているなどの背景がある場合、発話練習だけで解決しようとしないでください。本人の話を遮らず、何があったのかを本人が話せる範囲で聞き、学校に安心して参加できる方法を相談します。
5.学校生活全体の負担が高まっている
英語の時間だけでなく、登校・睡眠・食事・他の授業にも負担が出ているなら、英語だけを原因と決めつけないことが大切です。担任や学校の教育相談、スクールカウンセラー等への相談を優先し、必要な支援につなげましょう。出典:文部科学省「教育相談」。
保護者の声かけ:避けたい言い方と代わりの質問
| 避けたい言い方 | 代わりにできる質問 |
|---|---|
| 「予習すれば大丈夫だから頑張って」 | 「授業のどの場面で一番困った?」 |
| 「みんな答えられるのに」 | 「質問の意味は分かっていた?」 |
| 「間違えても気にしなければいい」 | 「当てられたとき何が起こると思って怖かった?」 |
| 「英語で答えるまでやり直し」 | 「言葉で話すより、先に書く方が楽?」 |
| 「明日は絶対手を挙げよう」 | 「先生に相談するとしたら、どうしてほしい?」 |
本人の希望を聞かずに発話の録音・動画撮影・家族の前での発表などを課さないでください。学習方法を相談しながら、小さい目標を本人と一緒に決めます。
学校の先生へ伝える相談内容と配慮の例
- 授業中のどの活動で不安が強くなるかを本人の言葉で伝える。
- 質問の意味を理解できないのか、理解しても即答できないのか、現状を共有する。
- 質問の前に考える時間を少し取る、先に書いて答えるなどの参加方法を相談する。
- 聞き返しや短い一文の応答が可能か、教科担当に確認する。
- 授業の「話すこと[やり取り]」と「発表」がどのような方法で評価されるか質問する。
- 過去に嫌な経験がある場合、学校での安全と人間関係への対応を相談する。
- 強い不安が続く場合、担任や教育相談担当・スクールカウンセラーなどにつないでもらう。
ここで示した配慮は学校に一律に義務付けられた個別制度の紹介ではなく、相談時の検討例です。授業の評価や参加方法を保護者だけで決めつけず、学校とすり合わせます。
短い英語応答の練習12問|中1・中2向け独自教材
以下は慶英会が家庭練習用に作成した独自例題です。特定校の授業で実際に行われた指名内容ではありません。本人の同意が得られた場合に、文字で理解する→一文を書く→希望すれば短く声に出す順に使います。答え方は一例で、自分に合う内容へ変えて構いません。
| 問題 | 質問(英語) | 解答例(英語) |
|---|---|---|
| 1 | What’s your favorite subject? | My favorite subject is science. |
| 2 | Do you like reading? | Yes, I do. |
| 3 | What time do you get up? | I get up at seven. |
| 4 | Where do you live? | I live in Tokyo. |
| 5 | How do you go to school? | I go to school by train. |
| 6 | Can you swim? | Yes, I can. |
| 7 | What did you do yesterday? | I studied English yesterday. |
| 8 | Did you watch TV last night? | No, I didn’t. |
| 9 | What are you doing now? | I’m studying English. |
| 10 | Why do you like English? | Because I like reading stories. |
| 11 | What will you do tomorrow? | I’ll play tennis tomorrow. |
| 12 | Which is bigger, a cat or an elephant? | An elephant is bigger. |
質問の意味と返答の確認ポイント
- 1〜3:好きな教科、読書が好きか、起床時刻を尋ねています。WhatとDoを区別します。
- 4〜6:住んでいる地域、通学手段、水泳ができるかを尋ねています。個人情報は具体的な住所まで答える必要はありません。
- 7〜8:didは過去の質問です。Yes/Noの後にdid・didn’tを合わせます。
- 9:「今何をしているか」を尋ねています。be動詞+ingの形を使います。
- 10:Whyへの答えとしてBecauseで理由を示します。
- 11:未来の予定にwillを使う回答例です。授業で学んだ別の未来表現でも構いません。
- 12:比較級のbiggerを使います。未習なら練習対象から外します。
答えを丸暗記するだけでは、質問が少し変わると返せません。例えば「Do you like reading?」を「Does your brother like reading?」に変えると主語・助動詞に応じて答え方も変わります。難しければ「Yes, he does.」のような短い応答から練習します。
「分かりません」「もう一度お願いします」を伝える英語
| 場面 | 練習する英語 | 意味 |
|---|---|---|
| 質問をもう一度聞きたい | Could you say that again, please? | もう一度言っていただけますか |
| ゆっくり話してほしい | Could you speak more slowly, please? | もう少しゆっくり話していただけますか |
| 少し考える時間がほしい | Let me think for a moment. | 少し考えさせてください |
| 答えを知らない | I’m not sure. | よく分かりません |
これらを使えるかは学校の方針や活動によります。英語表現を暗記できないからといって責めず、必要なら日本語で先生に困りごとを伝えても構いません。
14日間の段階的な練習計画:本人の安心が最優先
| 期間 | 本人と相談して実施する内容 | 達成目標の例 |
|---|---|---|
| 1〜3日目 | 苦手な場面を聞き、文字の質問2〜3問だけを一緒に読む | 質問の意味が分かる |
| 4〜6日目 | 答えを紙に一文ずつ書いてみる。必要なら見本を参照 | 主語と動詞が合った英文を作れる |
| 7〜9日目 | 本人が希望したら、完成した英文を一人で静かに読む | 一文を自分のペースで読める |
| 10〜12日目 | 短い質問を1〜2問だけ変更し、答え方の違いを試す | 暗記でなく文型に合わせて答えられる |
| 13〜14日目 | 本人に負担と希望を聞き、学校での参加方法を必要に応じて相談 | 無理のない参加方法と次の支援が明確 |
この14日間は不安が消えることや授業で発言できるようになることを保証するものではありません。学校や家庭で強い心理的苦痛が続くなら、練習の量を増やすのではなく相談・環境調整を優先してください。
定期テストの成績も下がっている場合の復習順
授業発言の不安に加え、書く英語も難しい場合は、まず学校のテスト答案で失点を「語彙」「文法」「語順」「読解」「英作文」に分類します。定期テストは書く力や読む力も評価するため、口頭で答える練習だけでは補えません。例えば「He go to school.」と書いてしまう場合は、三単現の規則を確認したうえで、答えを隠して「He goes to school.」を再現する練習が必要です。
また、学校で英語の話す活動と筆記試験の評価割合がどう定められているかは、学校の説明を確認してください。発話が苦手だという理由だけで評定が下がると断定することはできません。
外部の個別指導を利用するなら何を依頼する?
学校の授業や家庭学習だけでは語彙・文法・英作文の理解が改善しない場合、個別指導で学校教材の弱点を整理し、本人が安心して取り組める一対一の応答を少しずつ練習する方法があります。ただし、対人関係や心理的な負担については学校の相談体制が優先される場合があり、塾が医療・心理支援を代替するものではありません。
慶英会は中高一貫校の英語・定期テスト・英検・NEW TREASUREなどの学校教材に合わせてオンライン個別指導を行っています。学校の返却答案と現在の単元を確認し、「知識が足りない」「書けるが口頭では答えにくい」といった違いを踏まえた学習を提案します。英語の学習面について個別の相談を希望される場合は、慶英会公式サイトで最大1か月無料体験の案内をご確認ください。
よくある質問
授業で当てられるのが怖いのは英語力が低いからですか?
そうとは限りません。筆記では理解できるが口頭では緊張して答えられない場合もあります。知識・聞き取り・応答の組み立て・教室での安心感を分けて確認しましょう。
英語授業中に発言しないと必ず成績が下がりますか?
一律には言えません。学校での評価方法や複数の活動を通した見取りによります。具体的な評価基準・参加方法は在籍校にご確認ください。
毎日大きな声で英語を話させれば克服できますか?
発話の強制は勧められません。本人の希望と状態に合わせ、まず文字で理解する段階から始め、必要に応じて学校へ配慮を相談します。
英語の授業を嫌がり、登校にも影響が出ています。
英語学習を追加する前に、本人の状態を聞き、担任や学校の教育相談担当、スクールカウンセラー等へ早めに相談してください。安全と学校生活への支援が重要です。
一次情報・情報確認日
- 文部科学省「中学校学習指導要領解説 外国語編」(話すこと[やり取り]と[発表]の領域区分)
- 文部科学省「外国語活動・外国語科授業を観る」(話すことの指導例)
- 文部科学省「教育相談」(学校の相談支援の制度情報)
確認日:2026年10月11日。この記事の原因別表、独自例題、14日間の計画は慶英会が作成した学習上の提案です。特定校の指名方法を説明したものではなく、不安の原因を診断するものでもありません。