英検1級の英作文で冠詞に迷ったら、名詞を「数える単位」「単数・複数」「読み手が特定できるか」の順で確認します。一般論は複数形・無冠詞や不可算名詞で書くと整理しやすく、特定の対象を受けるときはtheが手掛かりになります。ただし「初出は必ずa」「不可算名詞は必ず無冠詞」「一般論のaは誤り」といった一律の処理は避けましょう。
慶英会の独自24問では、誤りの修正だけでなく、意図に合わせた書き換えと、正しい冠詞を残す判断も練習します。全問に完成英文・全文和訳・理由・別の書き方を掲載し、200〜240語の模範英作文2題へつなげました。単語の穴を埋めるだけでなく、段落の中で一般論から具体例へ進むときに、名詞の範囲が変わっていないかを確かめる教材です。
問題・英文・模範英作文は慶英会の独自教材です。模範文は議論の組み立てを示す学習用の文章で、実在する調査結果や企業の成果を報告するものではありません。正式な英作文の形式は日本英語検定協会の1級案内で確認できます。
冠詞は「初出かどうか」の前に、名詞句の意味を決める
まず、文の中心になる名詞を見ます。a useful piece of informationなら、数える単位はinformationではなくpieceです。次に、その意味で数えられるか、単数か複数かを確かめます。最後に、読み手がどの対象を指すか特定できるかを判断します。この順序にすると、informationの前にaを足す、theのある名詞をすべて単数にする、といった部分的な修正を避けられます。
| 確認する意味・形 | 書き方の例 | 判断の根拠 |
|---|---|---|
| 不特定の単数可算名詞 | a proposal / an inclusive policy | 一つの案や方針を導入する。a/anは直後の音で選ぶ。 |
| 特定された単数・複数 | the proposal / the proposals discussed above | どの案かが、前の文・説明・共有された状況から分かる。 |
| 種類を一般的に述べる複数名詞 | Public libraries can support learning. | 特定の図書館の集まりに限定せず、施設の種類を述べる。 |
| 活動・概念を広く述べる不可算名詞 | Research requires careful planning. | 研究活動を一般的に扱う。通常a/anで直接数えない。 |
| 特定された不可算名詞 | the research described in this report | 不可算でも、どの研究かが特定できればtheを使える。 |
| 所有・指示を表す限定語がある | their reasons / these proposals | the theirやthe theseのように冠詞を重ねない。 |
文法の基本はCambridgeの冠詞解説、名詞の数え方は可算・不可算名詞の解説を参照しています。表は英作文で使う判断の出発点です。a+単数名詞で種類の代表例を述べる用法などもあるため、一般論を無冠詞だけに限定する規則にはしていません。
「後ろに説明があるからthe」とは限らない
a proposal that could reduce delaysは、遅延を減らせるかもしれない一つの案を新しく示せます。一方、the proposal that we approved yesterdayなら、昨日承認した案として特定できます。関係詞節やof句があるという形だけで冠詞は決まりません。その説明によって、読み手にどの対象かが特定されるのか、新しい例を一つ導入しているのかを考えてください。
また、aをtheへ変えると、同じ物を受けるのか、別の物を加えるのかという段落のつながりが変わります。例えばA committee proposed a survey. The survey would include former users.なら、2文目は提案された調査の説明です。A second survey would include former users.なら追加の調査になります。冠詞を直すときは、一文だけでなく前後の文も読み直します。
独自24問|修正・意味の調整・正しい形の確認
各問の条件を読んでから完成英文を書いてください。「正しい形の確認」は、原文をそのまま残す解答が含まれます。単語の順序をすべて変える必要はなく、どの名詞が何を指すかを説明できることを目標にします。複数の自然な書き方がある問題では、解説で条件と別解の関係を示しています。
問1〜6|一般論と特定の対象
問1|意図に合わせる
この文章では、特定の地域の図書館ではなく、公共図書館という施設全般の可能性を述べます。複数形を保ったまま調整してください。
The public libraries can provide a place for independent study.
問2|空欄補充
2文目は、1文目で提案した同じ講座を指します。空欄にa・an・theのいずれかを入れてください。
A council has proposed an evening course. ___ course would be open to adult learners.
問3|意図に合わせる
特定の授業内容ではなく、教育一般について述べます。educationはそのまま使ってください。
The education can help people examine unfamiliar ideas.
問4|正しい形の確認
this programmeで特定されたプログラムの教育内容を指しています。先頭のTheを削る必要があるか説明してください。
The education offered by this programme combines practical work with reflection.
問5|空欄補充
前半は研究一般、後半は市が委託した特定の研究です。空欄にはtheまたは無冠詞を入れてください。
___ research can reveal overlooked problems, but ___ research commissioned by the city examined only one district.
問6|正しい形の確認
単数の代表例を通じて、公共図書館一般が持ち得る役割を述べる文です。Aを必ず削るべきか判断してください。
A public library can offer more than access to books.
問7〜12|不可算名詞と数える単位
問7|誤りの修正
役立つ情報を三つ提供した、と個数を保って書きます。informationを使って修正してください。
The office provided three useful informations.
問8|誤りの修正
特定の一点ではなく、承認の前に証拠が必要だと述べます。evidenceを不可算のまま用いてください。
The committee needs an evidence before approving the proposal.
問9|誤りの修正
作業場に機器を二点購入しました。equipmentと個数の二つを保ってください。
They bought two equipments for the workshop.
問10|誤りの修正
計画が大幅に進展した、と述べています。progressを使ったまま自然にしてください。
The project has made a substantial progress.
問11|数える単位の変更
勤務時間に関する一件の調査を計画します。aを残し、researchを数えられる適切な名詞へ変えてください。
The institute is planning a research on working hours.
問12|誤りの修正
助言が役に立ったと述べるだけで、助言の個数は指定しません。
The adviser gave useful advices about the application process.
問13〜18|意味で変わる可算性
問13|意図に合わせる
応募者には、特定の一回の出来事ではなく、繰り返しの仕事から得た経験があります。experienceをその意味で用いてください。
The applicant has an experience in organising public discussions.
問14|正しい形の確認
特に印象に残った一回の会合を、一つの体験として述べます。anを残してよいか判断してください。
The meeting was an experience that changed her view of public debate.
問15|誤りの修正
作品の点数ではなく、作業量が多かったことを述べます。workを用いたまま直してください。
The team completed many works before the exhibition opened.
問16|正しい形の確認
地元の芸術家が制作した三点の作品について述べています。worksをworkへ直す必要があるか判断してください。
The exhibition includes three works by a local artist.
問17|正しい形の確認
手順についての一つの水準・種類の理解を述べます。a basic understandingは誤りか判断してください。
The course gives participants a basic understanding of the selection process.
問18|正しい形の確認
自立した判断力を育てる、という特徴を持つ教育のあり方を述べます。an educationを必ず修正すべきか判断してください。
Students deserve an education that develops independent judgment.
問19〜24|音・限定語・段落のつながり
問19|誤りの修正
ある一つの役立つ方策を、新しく紹介します。冠詞を直してください。
The report proposes an useful approach to collecting feedback.
問20|誤りの修正
特定されていない、一つの包括的な方針を紹介します。冠詞を直してください。
The group called for a inclusive policy on access to training.
問21|空欄補充
2文目は、直前に紹介した助成金をそのまま受けます。空欄を埋めてください。
The report compares a grant with a loan. ___ grant would cover initial costs only.
問22|誤りの修正
参加者がそれぞれ自分自身の理由を説明するという意味です。不要な語だけを削ってください。
Participants should explain the their own reasons.
問23|誤りの修正
すでに示した二つの提案をtheseで指しています。不要な語だけを削ってください。
The these proposals address different parts of the problem.
問24|正しい形の確認
試行で見つかった特定の問題と、研究一般を区別する文です。冠詞の役割を説明してください。
The problems identified in the pilot do not invalidate research in general.
全24問の解答・全文和訳・根拠
問1〜6の全解答・全訳・解説を開く
問1の解答
完成英文:Public libraries can provide a place for independent study.
全文和訳:公共図書館は、自主学習の場を提供できる。
判断の理由:一般的な種類としてのpublic librariesを、複数形・無冠詞で表します。元のthe public librariesは、文脈上特定できる一群を指す読みになります。一般論だから名詞をすべて無冠詞にするのではなく、a placeは一つの役割・場所を表す単数可算名詞として残します。
別の書き方・注意点:単数で代表例を述べるA public library can provide a place for independent study.も可能です。今回は複数形を保つ条件に合わせます。
問2の解答
完成英文:A council has proposed an evening course. The course would be open to adult learners.
全文和訳:ある自治体が夜間講座を提案した。その講座は成人の学習者を対象とする予定だ。
判断の理由:2文目では、どのcourseかを1文目から特定できます。単に「2回目に出た名詞だから」ではなく、同じ提案を受けることがtheを選ぶ根拠です。別の講座を追加で導入するならa courseもあり得ますが、今回は同じ講座という条件です。
別の書き方・注意点:この条件ではThe courseが適切です。another courseに変えると、別の講座という意味になり、指示された内容を保てません。
問3の解答
完成英文:Education can help people examine unfamiliar ideas.
全文和訳:教育は、人々がなじみのない考えを検討する助けになり得る。
判断の理由:この意味のeducationは、教育という活動・概念を全般的に指しています。特定の教育を示す手掛かりがないため、ここでは無冠詞にします。動詞canは可能性を表し、教育を受ければ必ず同じ結果になるという断定にはしていません。
別の書き方・注意点:a particular educationやthe education provided by a programmeなら、限定された教育についての別の文を作れますが、今回の一般論とは範囲が変わります。
問4の解答
完成英文:The education offered by this programme combines practical work with reflection.
全文和訳:このプログラムが提供する教育は、実践的な作業と振り返りを組み合わせている。
判断の理由:Theを削る必要はありません。educationは不可算として使われていますが、offered by this programmeによって、どの教育かが特定されています。不可算名詞にa/anを付けない基本と、特定された不可算名詞にtheを使えることは別々に判断します。
別の書き方・注意点:この形をそのまま正解とします。後ろに修飾語が付けば常にtheになるわけではなく、今回はthis programmeが具体的な範囲を示している点が決め手です。
問5の解答
完成英文:Research can reveal overlooked problems, but the research commissioned by the city examined only one district.
全文和訳:研究は見過ごされた問題を明らかにできるが、市が委託したその研究では、一つの地区しか調べていなかった。
判断の理由:最初のResearchは活動一般です。二つ目はcommissioned by the cityで特定された研究なのでtheを付けます。冠詞だけでなく、only one districtという調査範囲も保持してください。特定の一つの研究の限界から、研究一般が無意味だと結論づける文ではありません。
別の書き方・注意点:後半をa study commissioned by the cityとすれば、一件の研究を新しく導入する書き方になります。今回の指定ではresearchを保ち、特定された対象として書きます。
問6の解答
完成英文:A public library can offer more than access to books.
全文和訳:公共図書館は、本を利用できる機会以上のものを提供し得る。
判断の理由:Aを削る必要はありません。a+単数可算名詞を用い、種類の代表例として一般的な性質を述べることもできます。一般論には複数形・無冠詞が扱いやすい一方、「一般論ならa/anは必ず誤り」という規則にはしないでください。
別の書き方・注意点:Public libraries can offer more than access to books.とも書けます。冠詞だけを削ってPublic library can …にすると、通常の単数可算名詞の形として不自然になります。
問7〜12の全解答・全訳・解説を開く
問7の解答
完成英文:The office provided three useful pieces of information.
全文和訳:その窓口は、役立つ情報を三つ提供した。
判断の理由:一般的な「情報」のinformationは、そのまま複数形にして数えません。三つという個数はpiecesを複数形にして表します。数え方を変えても、情報が三つだったという内容は保ちます。形容詞usefulが付いても、information自体が可算になるわけではありません。
別の書き方・注意点:three useful factsなど、数えられる別の名詞へ変更する方法もありますが、factは事実という意味を加えます。今回の条件ではpieces of informationが無理のない修正です。
問8の解答
完成英文:The committee needs evidence before approving the proposal.
全文和訳:委員会は、その提案を承認する前に証拠を必要とする。
判断の理由:この意味のevidenceをanで直接数えることはしません。ここでは必要な証拠一般なので無冠詞です。the proposalは検討対象の提案として特定されています。evidenceの前のanを取ったからといって、文中のtheもまとめて削除する必要はありません。
別の書き方・注意点:一点の証拠を明示する文ならa piece of evidenceが使えます。証拠の量や内容を限定していない今回の条件ではevidenceを採用します。
問9の解答
完成英文:They bought two pieces of equipment for the workshop.
全文和訳:彼らは、その作業場のために機器を二点購入した。
判断の理由:equipmentは機器類をまとめて表す不可算名詞です。個々の機器を二点と数える部分をpieces ofで補います。二種類という意味ならtypes of equipmentですが、二点と二種類は同じ情報ではありません。単複の形を直す際も、数えている対象を変えないようにします。
別の書き方・注意点:two items of equipmentも可能です。two machinesは具体的な機械に対象を絞るため、機器全般という原文の範囲を維持したい場合は安易に置き換えません。
問10の解答
完成英文:The project has made substantial progress.
全文和訳:その計画は大幅に進展してきた。
判断の理由:進展という意味のprogressは通常不可算で、substantialが付いてもaを付けません。ここで数えられるのは個々のstepやimprovementなどです。made progressという連語を名詞句ごと確認すると、形容詞の有無だけで冠詞を付ける誤りを防げます。
別の書き方・注意点:has made a substantial improvementと書くと、改善という別の名詞へ変わります。進行と改善は常に一致しないため、今回はprogressを保つ修正が適切です。
問11の解答
完成英文:The institute is planning a study on working hours.
全文和訳:その研究機関は、勤務時間に関する一件の調査を計画している。
判断の理由:一般的な研究活動のresearchはaで直接数えず、一件の調査ならa studyと表せます。単にaを削るだけでもresearchという活動を表せますが、一件を計画するという今回の条件では数えられる名詞への変更が合います。活動・成果・一件の調査を同じ単位として扱わないことが要点です。
別の書き方・注意点:a study of working hoursも自然です。a research project on working hoursならprojectが数えられる中心の名詞になります。
問12の解答
完成英文:The adviser gave useful advice about the application process.
全文和訳:その助言者は、申請手続きについて役立つ助言をした。
判断の理由:通常の助言という意味のadviceは不可算です。複数の助言が含まれる場合でも、個数を明示しないならuseful adviceとまとめて表せます。adviserという人は数えられますが、その人が与えるadviceの数え方とは別です。
別の書き方・注意点:gave some useful adviceも可能です。数を明示するときはtwo pieces of adviceなどとし、adviceそのものにはsを付けません。
問13〜18の全解答・全訳・解説を開く
問13の解答
完成英文:The applicant has experience in organising public discussions.
全文和訳:その応募者には、公開討論を企画・運営した経験がある。
判断の理由:経験から得た知識・技能を表すexperienceは不可算として使います。一回の体験を導入するan experienceと区別してください。採用側が実務経験の有無を述べている文では、どんな技能を得たかという内容を保つことが大切です。
別の書き方・注意点:has considerable experience in organising public discussionsなら経験の程度を加えられます。ただし原文にない豊富さを加えたくないときはexperienceのままにします。
問14の解答
完成英文:The meeting was an experience that changed her view of public debate.
全文和訳:その会合は、公開討論についての彼女の見方を変える体験だった。
判断の理由:anを残せます。experienceは、仕事から蓄積する経験だけでなく、一回の出来事・体験という可算の意味も持ちます。「experienceを不可算名詞として覚えたから冠詞はすべて削る」という修正は、意味の違いを消してしまいます。
別の書き方・注意点:a memorable experienceと形容詞を加えることもできますが、今回の原文はthat以下だけでどんな体験かを説明しています。
問15の解答
完成英文:The team completed a great deal of work before the exhibition opened.
全文和訳:チームは、展示会が始まる前に多くの作業を終えた。
判断の理由:ここでは仕事・作業の量を表す不可算のworkを使います。many worksだと、複数の作品などを指す読みが生じます。a great deal ofというまとまりの中のaは、workを直接数えているのではありません。どの名詞に冠詞が結び付くかも確認します。
別の書き方・注意点:a lot of workも自然です。many tasksにすると個々の課題・作業を数える表現になりますが、今回はworkを残す指定です。
問16の解答
完成英文:The exhibition includes three works by a local artist.
全文和訳:その展示会には、ある地元の芸術家による三点の作品が含まれている。
判断の理由:この意味ではworksのままで適切です。仕事・作業としてのworkと、芸術や文学の作品としてのa workは数え方が異なります。同じ綴りの名詞でも、意味が変われば可算・不可算が変わり得ることを、問15と対にして確認してください。
別の書き方・注意点:three works of artと明示する方法もあります。a local artistは特定されていない一人の芸術家を導入しています。
問17の解答
完成英文:The course gives participants a basic understanding of the selection process.
全文和訳:その講座は、参加者に選考手順の基礎的な理解を与える。
判断の理由:a basic understandingは自然な表現です。understandingは理解を広く表す一方、特定の程度や内容の理解をa basic understanding of …のように述べることもできます。抽象名詞という日本語上の分類だけでaを機械的に削らず、実際の意味とまとまりを確認します。
別の書き方・注意点:participantsにtheを加えるかは文脈次第です。ここでは受講者という一般的な役割を指し、修正の対象はa basic understandingです。
問18の解答
完成英文:Students deserve an education that develops independent judgment.
全文和訳:生徒には、自立した判断力を育てる教育が与えられるべきだ。
判断の理由:an educationを必ず修正する必要はありません。教育一般のEducationと、ある性質を持つ教育としてのan educationを区別します。that節があるから常にanになるのではなく、ここでは一つの教育のあり方を提示する書き方になっています。
別の書き方・注意点:Students deserve education that develops independent judgment.という無冠詞の書き方も文脈上可能です。今回の学習点は、anを含む原文を一律に誤文扱いしないことです。
問19〜24の全解答・全訳・解説を開く
問19の解答
完成英文:The report proposes a useful approach to collecting feedback.
全文和訳:その報告書は、意見を集めるための役立つ方策を一つ提案している。
判断の理由:usefulは文字uで始まりますが、最初の音は子音の/j/です。そのためa useful approachとします。冠詞の直後に来る形容詞の音で選び、名詞approachが母音で始まるからanを選ぶ、という判断にはしません。
別の書き方・注意点:形容詞を外すとan approachになります。a/anを決める位置は、離れた名詞ではなく直後の発音です。
問20の解答
完成英文:The group called for an inclusive policy on access to training.
全文和訳:その団体は、研修への参加機会について、幅広い人々を含む方針を求めた。
判断の理由:inclusiveは母音で始まるためanを選びます。policyはこの文では一つの方針として数え、accessとtrainingは利用機会・研修という概念を表しています。文中に複数の名詞がある場合も、すべてに同じ冠詞を付けるのではなく、一つずつ役割を判断します。
別の書き方・注意点:an inclusive training policyなら名詞句を短くできますが、何へのアクセスかという原文の焦点を保てるか別に点検します。
問21の解答
完成英文:The report compares a grant with a loan. The grant would cover initial costs only.
全文和訳:その報告書は助成金と融資を比較している。その助成金は初期費用だけを賄う予定だ。
判断の理由:比較の中でa grantとa loanを導入し、次の文でその助成金をthe grantとして受けます。新しい別の助成金ではありません。onlyの位置によって費用の範囲も限定されているため、冠詞を直すときに継続費用まで賄う文へ変えないことも重要です。
別の書き方・注意点:The loanなら指示先が融資へ変わります。冠詞だけ合っていても、受ける名詞を変えると比較の内容が崩れます。
問22の解答
完成英文:Participants should explain their own reasons.
全文和訳:参加者は、それぞれ自分自身の理由を説明するべきだ。
判断の理由:theirが名詞句を限定しているため、その前にtheを重ねません。ownは「自分自身の」を強調します。their own reasons全体で誰の理由かを示しており、名詞句として限定されています。具体的な対象には必ずtheを足す、という処理も避けてください。
別の書き方・注意点:their reasonsとも書けますが、ownを削ると「自分自身の」という強調が弱まります。今回は不要なtheだけを削ります。
問23の解答
完成英文:These proposals address different parts of the problem.
全文和訳:これらの提案は、その問題の異なる部分に対応している。
判断の理由:theseが指示の役割を果たしているので、その前にtheは置きません。一方、後ろのthe problemは既に特定された問題を指すため残せます。冠詞の修正は文全体のtheを一括で削除する作業ではなく、それぞれの名詞句を整える作業です。
別の書き方・注意点:The proposalsとすることも文脈次第で可能ですが、今回の条件はtheseを使って指すことなのでThese proposalsを採用します。
問24の解答
完成英文:The problems identified in the pilot do not invalidate research in general.
全文和訳:その試行で特定された問題は、研究一般を無効にするものではない。
判断の理由:The problemsはidentified in the pilotで範囲が定まる問題群です。research in generalは研究という活動を一般的に述べるので無冠詞にします。この二つを区別すると、個別の試行の問題を研究全体の否定に広げない論理を保てます。冠詞は文法の小さな記号であると同時に、議論の範囲を示す手掛かりです。
別の書き方・注意点:the researchに変えると、特定の研究についての文になり、in generalが示す全般的な範囲と整合するかを考え直す必要が生じます。
模範英作文2題|一般論から具体例へ名詞をつなぐ
英検1級の意見英作文は200〜240語の形式です。以下は慶英会の独自トピックに対する模範文で、それぞれ三つの理由を説明しています。語数は空白区切りで本文のみを集計しました。英検協会は英作文を内容・構成・語彙・文法の観点から評価しているため、冠詞を点検した後も、設問への回答と理由の説明を読み直してください。参照:1級の形式、英作文の採点観点。
模範A|職業上の学習時間
独自TOPIC:Should employers provide paid time for professional learning?
設問訳:雇用主は、職業上の学習のために有給の時間を設けるべきか。
本文:234語。
Employers should provide paid time for professional learning. A structured opportunity to develop knowledge can help organisations adapt, make training more accessible, and improve the quality of decisions made at work.
First, employees need opportunities to examine unfamiliar methods before applying them. A new technology may look promising, but using it effectively requires an understanding of its limitations. Protected learning time allows staff to compare approaches and practise relevant skills instead of making every adjustment during urgent assignments.
Second, relying entirely on unpaid study can disadvantage workers with substantial responsibilities outside the workplace. Experience gained through employment is valuable, yet it does not give everyone equal access to new information. Providing time within working hours can broaden participation without assuming that all employees have identical personal circumstances.
Third, learning can strengthen the basis for professional judgments. For example, a workshop on evaluating evidence could help a team distinguish a persuasive claim from a conclusion supported by reliable research. The workshop should relate to actual responsibilities, and managers should review how the learning influences subsequent decisions.
Paid learning time still requires careful planning. Employers must arrange adequate staffing and avoid courses with no clear purpose. Nevertheless, these practical demands are reasons to design a useful programme, rather than to leave development entirely to individual effort. When learning has clear objectives and regular review, allocating paid time to it is a reasonable investment in organisational capability.
模範Aの全文和訳を開く
第1段落:雇用主は、職業上の学習のために有給の時間を設けるべきだ。知識を育てるための体系的な機会は、組織が変化に適応し、研修に参加しやすくし、職場で下される判断の質を高める助けになり得る。
第2段落:第一に、従業員には、なじみのない方法を実際に取り入れる前に検討する機会が必要だ。新しい技術は有望に見えるかもしれないが、効果的に使うには、その限界への理解が必要になる。学習のために確保された時間があれば、急ぎの業務の最中にすべてを調整するのではなく、方策を比較し、関連する技能を練習できる。
第3段落:第二に、勤務外の無給の学習だけに頼ると、職場の外で大きな責任を負う従業員が不利になり得る。仕事を通じて得た経験は価値があるが、それだけで全員が新しい情報を同じように得られるわけではない。勤務時間内に時間を設ければ、全従業員の個人的な事情が同じだと仮定せずに、参加する人の範囲を広げられる。
第4段落:第三に、学習は職業上の判断の基盤を強められる。例えば、証拠の評価を扱う研修会なら、説得力のある主張と、信頼できる研究に支えられた結論を、チームが区別する助けになり得る。その研修会は実際の職責と関係する内容であるべきで、管理者は学びがその後の判断にどう影響したかを振り返るべきだ。
第5段落:有給の学習時間にも慎重な計画が必要だ。雇用主は十分な人員を配置し、目的が明確でない講座を避けなければならない。それでも、こうした実務上の要求は、能力開発を個人の努力だけに委ねる理由ではなく、有用なプログラムを設計する理由になる。明確な目的と定期的な見直しを伴うなら、有給の時間を学習に割り当てることは、組織の能力への合理的な投資である。
| 本文の名詞句 | 冠詞・数え方の理由 |
|---|---|
| Employers / professional learning | 冒頭は雇用主一般と職業上の学習という活動を述べるため無冠詞。 |
| a new technology / an understanding of its limitations | 一つの技術と、その限界についての理解を導入する。抽象的な意味でも、後者の形は自然。 |
| Experience gained through employment / new information | 蓄積された経験と新しい情報を、不可算の意味で使う。 |
| a workshop → The workshop | 具体例として導入した研修会を、次の文で同じ研修会として受ける。 |
模範B|博物館の常設収蔵品と特別展
独自TOPIC:Should public funding for museums focus mainly on temporary exhibitions?
設問訳:博物館への公的資金は、主として期間限定の展示に重点を置くべきか。
本文:231語。
Public funding for museums should not focus mainly on temporary exhibitions. Although a special exhibition can attract attention, permanent collections also deserve support because they sustain education, require responsible care, and provide resources for research.
First, a permanent collection offers continuity for learners. Teachers can plan activities around objects that remain available, and visitors can return to reconsider an earlier interpretation. The collection need not be presented in an unchanging way. New explanations and varied learning activities can make familiar objects relevant to different audiences.
Second, preserving objects involves work that is less visible than an opening event. A fragile work of art may require careful storage even when it is not on display. If funding follows only the immediate popularity of an exhibition, institutions may struggle to maintain the conditions needed for their collections.
Third, museums can support research by keeping objects and information about them accessible for study. A researcher may need to compare several works, examine earlier descriptions, or investigate the history of an acquisition. Such work cannot always be fitted into the limited duration of a temporary exhibition.
This does not mean that special exhibitions lack value. They can introduce new perspectives and encourage cooperation between institutions. Public support should, however, balance these benefits with the continuing responsibilities of a museum. Protecting education, care, and research requires a funding approach that looks beyond the next popular event.
模範Bの全文和訳を開く
第1段落:博物館への公的資金は、主として期間限定の展示に重点を置くべきではない。特別展は注目を集められる一方、常設の収蔵品も、教育を支え、責任を持った管理を必要とし、研究のための資源を提供するため、支援に値する。
第2段落:第一に、常設の収蔵品は学習の継続性を提供する。教師は引き続き利用できる資料を中心に活動を計画でき、来館者は再訪して以前の解釈を考え直せる。その収蔵品を、変わらない方法で提示する必要はない。新しい説明や多様な学習活動により、見慣れた資料を異なる来館者層にとって意味のあるものにできる。
第3段落:第二に、資料を保存するには、開幕行事ほど目立たない作業が伴う。傷みやすい芸術作品は、展示していないときでさえ、慎重な保管を必要とする場合がある。資金が展示の目先の人気だけに従って配分されると、施設は収蔵品に必要な条件を維持するのに苦労するかもしれない。
第4段落:第三に、博物館は、資料とそれについての情報を調査に使える状態に保つことで、研究を支えられる。研究者は、複数の作品を比較したり、以前の記述を調べたり、ある取得の経緯を調査したりする必要があるかもしれない。そのような作業は、期間限定の展示の短い開催期間に常に収められるとは限らない。
第5段落:これは、特別展に価値がないという意味ではない。特別展は新しい視点を紹介し、施設間の協力を促せる。ただし公的な支援は、こうした便益と、博物館が継続的に負う責任の釣り合いを取るべきだ。教育、管理、研究を守るには、次の人気行事より先を見据える資金配分の方策が必要になる。
| 本文の名詞句 | 冠詞・数え方の理由 |
|---|---|
| temporary exhibitions / permanent collections | 特定の展示一つではなく、それぞれの種類について議論する複数形。 |
| a permanent collection → The collection | 一つの代表例として導入した収蔵品群を、後続文で特定して受ける。 |
| work / a fragile work of art / several works | 作業量のworkと、一点・複数点の芸術作品という可算のworkを区別する。 |
| research / information / an acquisition | 研究・情報は不可算として扱い、ある一件の取得はan acquisitionと数える。 |
答案を点検する順序と4日間の復習
書いた直後は、冠詞だけを探すより、名詞のまとまりに印を付ける方が判断しやすくなります。第一に、単数可算名詞の前にa/an・the・所有格などが必要かを確認します。第二に、information・evidence・equipment・advice・researchなどを不自然に複数形へ変えていないか見ます。第三に、aからtheへつながる対象が途中で変わっていないかを読み直します。最後に一般論と具体例を見比べ、特定の事例の結論を対象全体へ広げていないか点検してください。
修正を記録するときは、誤った一語だけでなく名詞句を残します。例えばan usefulをa usefulへ直しただけで終えず、a useful approachと一まとまりで確認します。a researchはa studyに直せる一方、研究活動を述べるならresearchのままが適切です。何を言いたかったかを日本語で短く添えると、次の答案で同じ名詞を使う際にも判断を再現できます。
| 日 | 取り組む内容 | 終えたと判断する目安 |
|---|---|---|
| 1日目 | 問1〜6で、一般論・特定の対象・代表例を区別する。 | theの有無を「何回目に出たか」だけで説明せず、対象の範囲で説明できる。 |
| 2日目 | 問7〜12の完成英文を、答えを閉じて書く。 | pieces of information、a studyなど、数える単位を内容に合わせて選べる。 |
| 3日目 | 問13〜24で、正しい冠詞を残す理由も説明する。 | experienceとworkの意味の違いを、単純な不可算名詞一覧に戻さず判断できる。 |
| 4日目 | 模範文を読んだ後、自分の意見を200〜240語で書く。 | 三つの理由を保ち、一般論から具体例へ進む名詞句を一つずつ点検できる。 |
語彙や主張は書けるのに冠詞・単複で迷う場合は、答案の中の名詞句を一緒に点検すると、優先して直すパターンを整理できます。慶英会では、学校英語・NEW TREASURE・英検の学習状況に合わせて個別指導を行っています。最大1か月完全無料体験・学習相談はこちら。
よくある質問
一般論は必ず複数形・無冠詞にすればよいですか?
複数形・無冠詞は、種類を一般的に述べる際に使いやすい形ですが、唯一の形ではありません。問6のようにa+単数名詞で代表例を示すこともできます。種類や発明などをthe+単数名詞で扱う用法もあります。英作文では、まず自分が確実に扱える形で意味を伝え、見つけたaやtheを「一般論だから」という理由だけで削らないようにします。
名詞の後ろにofや関係詞節があればtheですか?
自動的には決まりません。a useful source of informationなら情報源の一つを紹介しており、of informationがあってもaを使えます。the source cited in the reportなら、報告書で引用された情報源として特定しています。後ろの説明が何をしているのかを読み、単に語が付いているという形だけで判断しないことが大切です。
不可算名詞に形容詞を付けるとaを使えますか?
形容詞を加えただけで、すべての不可算名詞が数えられるようになるわけではありません。useful informationやsubstantial progressには、通常そのままaを付けません。一方、a basic understandingやan educationのように、意味や用法に応じて使える形もあります。辞書では名詞の見出しだけでなく、その意味の可算・不可算表示と例文のまとまりを確認してください。
冠詞の誤りを一つ直せば、何点上がりますか?
この教材では、冠詞一つを何点と換算する採点は行っていません。英検協会が公表する観点では、文法は文構造の多様さと適切な使用を含みます。冠詞の修正を、内容・構成・語彙の点検と合わせ、自分の意見と理由が読み手へ正確に伝わる答案へつなげてください。
関連記事・参考にした主な公式情報
- 英検1級の英作文の文法ミス40例:時制・語順など、冠詞以外の誤りも点検する。
- 英作文の主語と動詞の一致36問・模範2篇:名詞の単複を、動詞の形へつなげる。
- 英文要約の名詞化・圧縮32問:動作を名詞へ変えた際に、意味と数える単位を保つ。
- 英検1級の無料問題集・教材一覧:語彙・長文・要約・英作文・面接から次の教材を選ぶ。
- Cambridge Dictionary|A/an and the:a/an・the・無冠詞、一般的な名詞と特定された名詞、限定語の重複。
- Cambridge Dictionary|Nouns: countable and uncountable:不可算名詞、数える単位、意味によって変わる可算性。
- Cambridge Dictionary|Countability: research:研究活動のresearchと、一件の調査のstudy。
- Cambridge Dictionary|Prepositions: experience:知識・技能としてのexperienceと、一回の体験。
- British Council|Articles: a, an, the:単数可算名詞の限定、一般論における複数形・不可算名詞。
- 日本英語検定協会|About EIKEN Grade 1:意見英作文の200〜240語という形式。
- 日本英語検定協会|英作文の採点に関する観点:内容・構成・語彙・文法の観点と、適切な文構造の使用。

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