英語の絵本づくりで手が止まったら、最初に長い日本語の物語を全部英訳しようとせず、「誰に、何を、どの絵と一緒に伝えるか」を決めましょう。幼児に読み聞かせる作品では、英文の難しさより、短い文で場面が分かること、次を予想できる繰り返し、聞き手が参加できる間が大切です。本記事では、横浜創英高校の過去の英語探究事例を入口に、慶英会独自の6課題で、英文づくりから読み聞かせ・推敲まで練習します。
対象は、横浜創英高校の在校生・保護者をはじめ、英語の絵本制作や発表課題に取り組む高校生です。以下は学校の課題の再現・模範解答ではありません。学校から指定されたテーマ、ページ数、語数、提出方法、AI利用方針がある場合は、そちらを優先してください。
目次
学校公式で確認できる、英語絵本を幼稚園で発表した事例
横浜創英中学・高等学校の2025年2月19日付の英語探究授業の発表会報告では、高校2年生が1学期に英語で絵本を制作し、近隣の幼稚園で発表したことが紹介されています。同じ報告は、身近に感じられる課題を調べて英語で発表し、教室での学びを社会につなげる授業の目的も説明しています。
これは2025年2月19日付の報告に載る過去の実施例です。2026年度以降も同じ題材・同じ条件で実施されることや、全員に同一の課題が出されることは、この資料からは判断できません。現在の課題・評価基準は授業の指示で確認してください。本記事は生徒の作品・発表原稿・写真を使用せず、登場人物・物語・英文・設問を新しく作成しています。
長い英文を書く前に決める、絵本の設計
高校生が簡単な英語で書くことは、単なるレベル下げではありません。言いたいことを絞り、文を分け、絵に任せる情報を選ぶ練習です。「高校生らしい難しい文法を入れなければ」と考える前に、聞き手が場面を追えるかを確認します。以下の設計は慶英会の練習案であり、学校の公式ルーブリックではありません。
- 聞き手:英語を初めて聞く幼児を仮に想定する。実際の年齢・人数・英語経験は発表先の担当者に確認する。
- 主人公と目標:主人公を1人か1匹、探すものやしたいことを1つに絞る。
- 展開:始まり→困りごと→試す→助け合う→解決、のように変化を作る。
- 絵と英文:1ページに中心となる動作・発見を1つ置く。色や位置は絵でも示す。
- 読み聞かせ:指させる質問を選び、相手が見たり答えたりする時間を残す。
本記事の「6ページ」「1ページ1〜2文」などの数値は練習のための目安です。幼児全員に適する基準や、学校の指定条件ではありません。絵の上手さが気になる場合は、まず丸・四角・矢印のラフで場面の順序を確かめれば十分です。
慶英会独自6課題:問題・模範例・全訳・解説
先に自分の答えを書き、次に模範例と比べてください。自由記述には複数の答えがあります。英文が正しく、指定の意味・展開を保ち、聞き手に伝わるなら、模範例と違っていても構いません。課題1・2は独立した短文練習、課題3〜6は同じオリジナル物語を組み立てて改善する連続練習です。
課題1:長い1文を、絵と一緒に伝わる短い文へ直す
問題:次の英文を、情報を整理して3〜4文に直してください。主人公がウサギであること、赤いボールを持っていること、ボールを探すことを伝えます。必要なら名前を付けて構いません。
元の英文:A little rabbit who has a red ball cannot find it, so he starts looking for it in the park.
元の英文の全訳:赤いボールを持っている小さなウサギは、そのボールが見つからないので、公園で探し始めます。
模範例:Ben is a little rabbit. He has a red ball. Where is his ball? Ben starts looking for it in the park.
模範例の全訳:ベンは小さなウサギです。赤いボールを持っています。ベンのボールはどこでしょう。ベンは公園でそれを探し始めます。
解説:元の文の who has a red ball は rabbit を説明しています。この部分を独立した He has a red ball. にすると、聞き手が主人公と持ち物を順に捉えられます。look for は「探す」、find は「見つける」です。探し始めた場面で Ben finds his ball. とすると、すでに解決した意味になるので注意します。短文化しても、公園という場所を勝手に変えないことが大切です。
課題2:同じ型を繰り返し、次の言葉を予想できる場面を作る
問題:ボールを「箱の下→いすの下→木の下」の順に探す独立したミニ場面を作ります。各場所について Is it under …? で始まる質問と、その答えを書いてください。最初の2か所にはなく、最後の場所で見つかる設定です。
模範例:Is it under the box? No, it isn’t.
Is it under the chair? No, it isn’t.
Is it under the tree? Yes, it is!
全訳:箱の下かな。いいえ、ありません。
いすの下かな。いいえ、ありません。
木の下かな。はい、そうです!
解説:同じ質問の形を保ち、box / chair / tree だけを替えています。最後に No から Yes へ変化するので、繰り返しに終わりが生まれます。it はここではボールを指します。初めのページでボールを示してから使いましょう。under は「〜の下」であり、絵が木の上を示しているのに under the tree と読むと食い違います。繰り返しを増やしすぎるより、相手の反応を見て長さを調整します。
課題3:ばらばらの6場面を、因果関係の分かる物語に並べる
問題:次のA〜Fを自然な順序に並べてください。「ボールを持つ→転がっていく→探す→助けを求める→発見→一緒に遊ぶ」という流れを作ります。Ben は主人公のウサギ、Fox は友達のキツネの呼び名です。この物語では Fox を名前のように大文字で書きます。
- A. “Can you help me?” Ben asks Fox.
- B. Oh, no! The ball rolls away.
- C. “Thank you!” says Ben. They play together.
- D. Ben has a red ball.
- E. “Look! It is under the tree,” says Fox.
- F. “Is it under the box?” “No, it isn’t.”
正答:D → B → F → A → E → C。今回は問題文で流れを指定しているため、この順が正答です。自由な創作では、つなぎの文や絵を加えると別の展開も作れます。
A〜Fの全訳:A「手伝ってくれる?」とベンはキツネに尋ねます。/B「あっ、大変!」ボールが転がっていきます。/C「ありがとう!」とベンは言います。2匹は一緒に遊びます。/D ベンは赤いボールを持っています。/E「見て! 木の下にあるよ」とキツネは言います。/F「箱の下かな」「いいえ、ありません」。
解説:B の The ball は、D で紹介された a red ball を受けています。C の They は、ベンとキツネの2匹です。キツネが登場する前に They play together. を置くと、誰と誰なのかが分かりにくくなります。英文の順番だけでなく、「転がる方向」「ボールのない箱の下」「キツネが指す木の下」をラフ絵にして、発見までの流れが見えるか確かめましょう。
課題4:聞き手が、その場の絵を見て参加できる質問を選ぶ
問題:木の下に赤いボールが見える絵を示しています。聞き手が今の絵から答えられる質問をA〜Cから1つ選び、声以外でも参加できる方法を書いてください。
- A. Is the ball red or blue?
- B. Where was Ben’s ball yesterday?
- C. Why does Fox like the park?
質問の全訳:A ボールは赤いですか、それとも青いですか。/B 昨日、ベンのボールはどこにありましたか。/C なぜキツネはその公園が好きなのですか。
正答と参加方法の例:A。赤と青の色カードを示して、赤を指さしてもらう。返答例は Red.(赤です)または It is red.(それは赤いです)。
解説:A は絵に答えの手がかりがあります。B の yesterday の情報や、C のキツネの好みの理由は、絵にも物語にも示されていません。答えられない質問を重ねるより、色・数・場所など、その場で確かめられる内容を選びます。反応がないときにすぐ誤答とせず、絵を指して問いを短く繰り返す、読み手が一緒に答えるなどで進めてください。返答を強制する必要はありません。
課題5:6ページの絵本を、読む言葉と動作を分けた台本にする
問題:課題3の物語を使い、各ページで「本文」「絵の指示」「読み方」を分けて書いてください。次のモデルでは、本文は英語で読み、絵の指示と読み方は読み手用のメモとして扱います。絵は未制作のため、下記は完成画像ではなくラフ作成用の指示です。
1ページ:主人公とボールを紹介する
本文:Ben has a red ball.
全訳:ベンは赤いボールを持っています。
絵の指示:ウサギのベンが赤いボールを持っている。
読み方:ベンとボールを順に指し、red ball をはっきり読む。
2ページ:困りごとが起きる
本文:Oh, no! The ball rolls away.
全訳:あっ、大変! ボールが転がっていきます。
絵の指示:ボールがベンから離れる方向へ転がる。
読み方:驚いた表情をつけ、ボールの動く方向を指で追う。大声で驚かせる必要はない。
3ページ:探してみる
本文:“Is it under the box?” “No, it isn’t.”
全訳:「箱の下かな」「いいえ、ありません」。
絵の指示:ベンが箱の下をのぞく。箱の下にボールは描かない。
読み方:このモデルではベンの問いに語り手が答える。質問の後に絵を見る時間を取ってから答えを読む。練習では2〜3秒を出発点にし、実際には聞き手の様子に合わせる。
4ページ:助けを求める
本文:“Can you help me?” Ben asks Fox.
全訳:「手伝ってくれる?」とベンはキツネに尋ねます。
絵の指示:ベンがキツネの方を向いて話しかける。
読み方:ベンとキツネを指し分け、誰が誰に話すのかを示す。
5ページ:ボールを見つける
本文:“Look! It is under the tree,” says Fox.
全訳:「見て! 木の下にあるよ」とキツネは言います。
絵の指示:キツネが木の下の赤いボールを指している。
読み方:Look! の後で絵を示す。参加を促すなら、本文とは別の声かけとして Is the ball red or blue?(ボールは赤いですか、それとも青いですか)を使い、指さしや返答を待つ。
6ページ:感謝し、一緒に遊ぶ
本文:“Thank you!” says Ben. They play together.
全訳:「ありがとう!」とベンは言います。2匹は一緒に遊びます。
絵の指示:ベンとキツネが同じ赤いボールで遊ぶ。
読み方:Thank you! を相手に向けて読み、最後の絵を見せてから閉じる。
解説:このモデルは全体を現在形でそろえています。三人称単数の has / rolls / asks / says に注意しましょう。会話の Can you help me? は「私を手伝ってくれますか」という依頼です。読み手用の日本語メモまで本文として読んだり、子どもが絵を見る前にページをめくったりしないよう、台本では区別します。台本を暗記するだけでなく、絵を示す動作を含めて通して練習してください。
課題6:主語と動詞・時制・絵との食い違いを直し、理由を説明する
問題:課題5の設定と絵を使う前提で、次の原稿を修正してください。物語は現在形、ボールは赤、発見場所は木の下です。修正後に、変更の理由を日本語で3点書きましょう。
修正前の英文:Ben have a red ball. The ball rolled away. Fox says, “It is on the tree.” They plays together.
修正前の意味:ベンは赤いボールを持っている。ボールは転がっていった。キツネは「それは木の上にある」と言う。2匹は一緒に遊ぶ。※これは誤りを含む診断用の原稿です。
模範修正:Ben has a red ball. The ball rolls away. Fox says, “It is under the tree.” They play together.
修正後の全訳:ベンは赤いボールを持っています。ボールが転がっていきます。キツネは「それは木の下にあるよ」と言います。2匹は一緒に遊びます。
理由の例:① Ben は三人称単数なので have を has にする。They は複数なので plays を play にする。② 全体を現在形で語る設定に合わせ、rolled を rolls にする。③ 木の下という絵と一致させるため、on を under にする。
解説:過去形で物語を書くこと自体は間違いではありません。今回は現在形で統一するという練習条件に合わせて直しています。また、文法が正しい It is on the tree. でも、木の下にボールがある絵とは一致しません。英文だけ、絵だけを別々に点検せず、両方を並べて確認することが大切です。
完成前の点検:英文が正しいだけで終わらせない
- 内容:主人公が何をしたいか、何が起きてどう解決したかが分かる。
- 英語:主語と動詞、時制、代名詞の指す相手、色・数・場所が一致する。
- 絵:本文で言う物や動作が絵にあり、意図しない答えの食い違いがない。
- 聞き手:質問に答える手がかりがあり、黙って見ているだけでも参加できる。
- 発表:絵を見せる向きとページをめくる位置を確認し、返答を待てる。
- 権利と学校ルール:本文・画像の利用条件、出典、共同制作者の合意、学校のAI利用方針を確認する。既存キャラクターや他人の作品を無断で使わない。
提出まで3日ある場合の練習例
1日目:学校の指示を確認し、主人公・困りごと・結末を日本語で各1行書く。6場面のラフを作り、各ページの英語を短く書く。
2日目:英語と絵を並べ、時制・代名詞・位置表現を確認する。友人などに初見で読んでもらい、「誰の話か」「何が起きたか」を説明してもらう。公開共有する必要はない。
3日目:実際に絵を示して読み、つまずく文や急いでめくる箇所を直す。役割分担、提出ファイル、期限を確認する。
これは自主練習の例です。提出が迫っている場合は、凝った装飾より、物語が完結していること、英文と絵が合っていること、指示どおり提出できることを優先しましょう。グループ制作では、各自が自分の担当文の意味と表現を説明できる状態にします。
保護者・生徒のよくある質問
高校生なのに、中学英語のような文でよいのでしょうか。
学校の指定条件を満たすことが前提ですが、幼児に届ける目的なら、短い既習表現を正しく選ぶことに意味があります。難しい単語を足すより、絵で分かるか、声で聞いて追えるかを確かめてください。評価基準が分からない場合は、授業担当の先生に確認します。
日本語の物語を翻訳ツールでまとめて英語にしてもよいですか。
学校の利用ルールに従います。ツールを利用できる場合も、出力をそのまま提出するのではなく、各文を自分で訳せるか、読み上げられるか、絵と合っているかを確認してください。まず短い自作英文を書き、分からない表現だけ質問する方法なら、修正理由も理解しやすくなります。
保護者はどこまで手伝えばよいですか。
代わりに物語や英語を完成させるより、初めて見る聞き手として「ここは誰が話しているの?」「ボールはどこ?」と具体的に尋ねると、本人が直す場所を見つけやすくなります。学校が本人の作業を求める部分は代行しないでください。
文法は分かるのに、短い英文が作れない場合は塾が必要ですか。
まず、言いたい内容を1つに絞れているか、主語と動詞を置けるか、知っている単語で言い換えられるかを切り分けます。学校で質問しても整理できない場合は、自作のラフと英文を使い、「どこを、なぜ直すか」を説明してくれる個別指導を検討できます。完成原稿の代作ではなく、本人が次の1文を作れる支援かを確認しましょう。
出典・関連記事・学習相談
学校事例の出典:横浜創英中学・高等学校「★英語探究授業にて本年度の発表会が行われました★」(2025年2月19日掲載、2026年11月4日確認)。学校の事実紹介は同記事に基づきます。学習の設計、6課題、模範例、解説、進め方は慶英会が独自に作成したものです。
関連する学習:中高一貫校の英作文を質問に合わせて書く独自20問。中学生段階の学習を確認する場合は、横浜創英中学校の英語対策完全ガイドも参照できます。高校の課題条件を中学校の教材・制度から推定しないでください。
英作文や発表準備で困っている方は、慶英会のWeb学習相談をご利用いただけます。相談では学年、学校の指定条件、今止まっている箇所をお知らせください。慶英会は学校の指示を尊重し、自分で英文を考え、修正理由を説明できるようになるための学習を支援します。
本記事は横浜創英中学・高等学校の公式教材ではなく、同校と慶英会の提携・公認を示すものでもありません。実際の生徒作品や幼稚園児の情報・写真は掲載していません。

