「単語の意味は言えるのに、長文の内容一致で落とす」「itを『それ』と訳した先が曖昧」。中高一貫校の中1・中2でこの失点が続く場合は、英文を全部訳し直す前に、代名詞が何を指すかを名詞に戻す練習をしてみましょう。直前の名詞を機械的に選ばず、数と文の意味を確かめます。
この記事は保護者の方が返却答案から復習箇所を選ぶためのガイドです。独自3英文18問、全文和訳、全問の解説を掲載しています。ニュートレジャー(NEW TREASURE)などの学校教材と併用できますが、出版社の本文・設問・解答や学校の試験問題を転載したものではありません。学校の既習範囲に合わせて取り組んでください。
答案では「それ」の訳より、何を指すかを確認する
長文の誤答を一つ選び、本文中のit・they・them・thisを囲みます。お子さんに「これは誰のこと? 何のこと?」と聞き、本文の語句を指してもらいます。「それ」とだけ答えた場合は、読み取った内容がまだ確認できません。
次に、選んだ名詞を代名詞の位置に戻して読みます。単語の意味が分からないなら語彙、名詞は分かるが文が組み立てられないなら主語・動詞、直前の名詞だけ選んでしまうなら指示先の確認へ戻ります。一度の間違いで読解力全体を判断する必要はありません。
確認は3手順|候補を探す→数を見る→意味を確かめる
①候補を探す:前の文を中心に、話題になっている人・物を探します。必ず一つ前の名詞とは限りません。
②数を見る:今回の問題ではitは単数の物、they・themは複数の人や物を受けています。候補を絞る手がかりとして使います。
③意味を確かめる:「机が湖の写真を示す」「コンピューターが4個の車輪を持つ」など、不自然になっていないか、前後の文も合わせて確認します。
注意点として、thisが直前の出来事全体を指す場合や、天気・時刻のItのように特定の名詞を指さない場合もあります。また、英語全般ではtheyが一人の人を表す用法もあります。「itは必ず物一つ、theyは必ず複数」という丸暗記だけで、すべての英文を処理しないようにしましょう。
問題編|独自3英文18問
紙に答えを書き、根拠となる語句に線を引いてから解説を読みます。本文の一部を抜き出す問題は英語で、それ以外は日本語で答えて構いません。指示先の確認が目的なので、解答のつづりだけで読解の正誤を決めないでください。1日1英文を目安に、未習語は下の語注で補えます。
英文A|絵はがきを見せる
Mika has a postcard from her cousin. The postcard is on her desk. It shows a small lake. Mika shows it to her classmates. They ask Mika about the lake. Mika cannot answer the questions, so she sends them to her cousin.
語注:postcard=絵はがき、cousin=いとこ、classmate=クラスメート、lake=湖、send=送る。
1. “It shows a small lake.” のItが指すものを、本文から2語で抜き出してください。
2. 問1のItをher deskと考えると、本文の説明とどう合わなくなりますか。
3. “Mika shows it to her classmates.” のitが指すものは何ですか。
4. “They ask Mika” のTheyが指す人たちは誰ですか。
5. “she sends them to her cousin” のthemが指すものを、本文から2語で抜き出してください。
6. 「ミカはいとこに絵はがきを送った」は、本文の内容と一致しますか。送ったものを示して答えてください。
英文B|ロボットとコンピューター
The students put two small robots beside a computer. They have four wheels each. The computer controls them. A teacher checks the computer because it is not working. The students wait near the door. Their bags are under a table.
語注:beside=〜のそばに、wheel=車輪、each=それぞれ、control=操作する、check=点検する、work=作動する。
7. “They have four wheels each.” のTheyが指すものを、本文から3語で抜き出してください。
8. 問7のTheyをThe studentsと考えない理由を、後ろの語句から説明してください。
9. “The computer controls them.” のthemが指すものは何ですか。
10. “because it is not working” のitが指すものは何ですか。
11. “Their bags” は誰のかばんですか。
12. 「先生が作動していないロボットを点検している」は本文の内容と一致しますか。点検対象を示して答えてください。
英文C|待ち時間とゲーム
The bus arrived twenty minutes late. This made the students tired. Ms. Sato gave them a word game. It was easy, and everyone enjoyed it. At ten, the bus reached the museum. It was sunny there.
語注:arrive=到着する、late=遅れて、tired=疲れた、giveの過去形gave=与えた、enjoy=楽しむ、reach=到着する、museum=博物館。
13. “This made the students tired.” のThisは、どのような出来事を指していますか。
14. “Ms. Sato gave them” のthemは誰ですか。
15. “It was easy” のItが指すものを、本文から3語で抜き出してください。
16. “everyone enjoyed it” のitが指すものは何ですか。
17. “It was sunny there.” のItはthe museumを指していますか。
18. 「生徒が疲れた理由はゲームが難しかったからだ」は、本文の内容と一致しますか。疲れた理由とゲームの難しさを答えてください。
解答・解説|「近いから」だけでは決めない
英文Aの全文和訳
ミカは、いとこからの絵はがきを持っています。その絵はがきは彼女の机の上にあります。それには小さな湖が写っています。ミカはそれをクラスメートに見せます。クラスメートはミカにその湖について質問します。ミカはその質問に答えられないので、質問をいとこに送ります。
1. The postcard。前の文の主語です。文末のher deskは絵はがきが置かれている場所を表します。
2. 湖が写っているのは絵はがきで、机は置き場所だから。直前の名詞deskを選ぶと、机が湖を示すという読みになってしまいます。
3. 絵はがき。Mika shows the postcard to her classmates. と戻すと、見せた物と相手が分かります。
4. ミカのクラスメートたち。質問をするのは人であり、her classmatesを受けます。
5. the questions。ミカが答えられなかった質問を、いとこに送っています。themが複数の内容を受ける点も確認します。
6. 一致しない。送ったのは質問。絵はがきはクラスメートに見せた物です。shows itとsends themの目的語を区別しましょう。
英文Bの全文和訳
生徒たちは、コンピューターのそばに小さなロボットを2台置きます。それらにはそれぞれ車輪が4個あります。コンピューターがそれらを操作します。コンピューターが作動していないため、先生がそれを点検します。生徒たちはドアの近くで待ちます。生徒たちのかばんはテーブルの下にあります。
7. two small robots。それぞれ4個の車輪がある物は、2台のロボットです。
8. have four wheels eachという説明がロボットに当てはまるから。studentsも複数ですが、数が一致するだけでは決められません。後ろの意味まで確認します。
9. 2台の小さなロボット。操作する側がthe computer、操作される側がthemです。
10. コンピューター。A teacher checks the computerの後に、その理由としてコンピューターが作動しないことを述べています。
11. 生徒たちのかばん。Theirは直前の文のThe studentsを受けます。ドアのかばんではありません。
12. 一致しない。点検しているのはコンピューター。ロボットが故障しているとは書かれていません。本文が述べていない故障を補わないことが大切です。
英文Cの全文和訳
バスは20分遅れて到着しました。このことで生徒たちは疲れました。佐藤先生は生徒たちに言葉のゲームを出しました。それは簡単で、全員が楽しみました。10時にバスは博物館に到着しました。そこでは晴れていました。
13. バスが20分遅れて到着したこと。Thisはbusという名詞だけでなく、前の文の出来事を受けています。「バス」だけでは、何が疲れの原因なのか十分に説明できません。
14. 生徒たち。ゲームを出してもらった人たちです。Ms. Sato gave the students a word game. と戻せます。
15. a word game。簡単だったのは言葉のゲームです。
16. 言葉のゲーム。everyone enjoyed the word gameと戻すと、楽しんだ対象を確かめられます。
17. 指していない。天気を表すIt was sunnyのItは、ここでは特定の名詞の代わりではありません。博物館を指す場所の表現はthereです。
18. 一致しない。バスが20分遅れて生徒は疲れた。ゲームは簡単だった。Thisの指す出来事とeasyの意味を合わせて確認します。
解いた後の復習は、間違いの種類で一つ選ぶ
1・3・5・7・9・10・11・14・15・16で迷う:候補となる名詞に線を引き、代名詞をその名詞に戻して1文ずつ読んでください。
2・8で説明できない:数が合う候補を選んだ後、後ろの動詞や説明に合うかを確認します。
13・17で間違える:出来事全体を受けるThisと、天気のItを分けます。学校で未習なら、まずA・Bまでで構いません。
6・12・18で間違える:指示先を確かめた後、選択肢の主語・動作・対象が本文と同じか、一組ずつ比べます。
この18問の正答数は、成績や入塾の必要性を判定する基準ではありません。答えを覚えた同じ英文で正解できても、初見文で使えるかは別に確かめます。翌日以降、学校の既習英文から短い段落を一つ選び、itなどを名詞に戻して説明できるか見てください。学習時間は10分程度から始め、負担に応じて調整します。
保護者の声かけ|「何を指すと思った?」を一つ聞く
「ちゃんと読んで」よりも、「このthemを何に戻した?」「その名詞を入れて、もう一度読んでみよう」と聞く方が、確認する場所が具体的になります。根拠を説明できた箇所も残し、間違いだけを増やして指摘しないようにします。文全体が難しい場合は、その場で長文を追加せず、主語と動詞が分かる短い文へ戻りましょう。
次に使う既存の無料教材
指示先を確認できたら、中1・中2の年間学習マップにある無料40問で、文法・読解・英作文のどこに復習が必要かを確かめられます。ニュートレジャー(NEW TREASURE)の学習では、学年だけで選ばず、学校で使う版・Stage・Lessonと既習範囲を優先してください。
やや長い英文で指示語・条件・時系列をまとめて確認したい場合は、金城学院中学校向け記事の独自4長文40問も利用できます。学校別の記事ですが、掲載演習は独自の架空場面です。本記事より語彙・文法の負担が増えるため、無理に全部へ進む必要はありません。
答案のどこから戻るか迷う場合の学習相談
指示語だけでなく、単語・文の構造・内容一致のどこで止まっているか分けにくい場合は、慶英会のWebフォームで学習相談をご利用ください。「学年」「使用教材・既習範囲」「長文で間違えやすい設問」を分かる範囲でお知らせいただくと、相談内容を整理しやすくなります。答案や学校の問題を公開する必要はありません。
無料体験を検討される場合は、料金・コース・無料体験の条件をご確認ください。この記事の演習結果だけで、受講や特定のコースを勧めるものではありません。

